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●公害対策基本法 こうがいたいさくきほんほう

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 公害対策の根本をなしている法律で,1967年(昭和42)8月3日から施行された。昭和40年代の初頭においてこのような法律が施行されたことはきわめて意義が深い。経済の高度成長に伴って発生してきた諸問題のうちでも,公害に関する問題が最も深刻であったのである。したがって,このような法律が成立したのであるが,そののちも公害による被害現象が急速に増加するとともに,いっそう悪化の状況を示すにいたり,1970年末の第64臨時国会(通称公害国会)において,いわゆる「経済との調和」条項を削除する改正案が成立することになった。

【法律の目的】第1条において,〈この法律は,国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ,事業者,国及び地方公共団体の公害の防止に関する責務を明らかにし,並びに公害の防止に関する施策の基本となる事項を定めることにより,公害対策の総合的推進を図り,もって国民の健康を保護するとともに,生活環境を保全することを目的とする〉と定めている。国民の健康で文化的な生活を営む権利,つまり生存権の保障との関係で考えられていることがうかがわれる。

【法律の構成】法律は,総則,公害の防止に関する基本的施策,費用負担及び財政措置等,公害対策会議及び公害対策審議会の4章からなっている。このうちの第1章総則においては,目的・定義,事業者・国・地方公共団体・住民の責務,年次報告等,放射性物質による大気の汚染等の防止が定められいる。

【年次報告について】この法律の第7条は,〈[1]政府は,毎年,国会に,公害の状況及び政府が公害の防止に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。[2]政府は,毎年,前項の報告に係る公害の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し,これを国会に提出しなければならない〉と定めている。政府はこれにもとづいて,いわゆる白書を公表しているのである。昭和44年度から「公害白書」として提出されてきたのであるが,1971年7月に環境庁が発足したために,昭和47年度からは,「環境白書」となり現在にいたっている。昭和44年版公害白書(わが国初の公害白書)は,〈このたび,公害対策基本法に基づき,政府が第61回国会に提出した報告を昭和43年公害白書として発表することといたしました。この白書は,わが国初の公害白書として関係各省庁において執筆し,総理府及び厚生省が取りまとめにあたったものであります〉と述べている。内容としては,第1部序説−わが国の公害問題公害行政の推移,今後における公害対策の課題,第2部公害の現状−大気汚染,水質汚濁,騒音その他の公害,第3部公害の防止に関して講じた施策−総説,大気汚染対策,水質汚濁対策,騒音その他の公害対策,地域開発等における公害対策,公害防止に関する調査研究と技術開発,公害防止のための融資と助成,その他の公害対策,そして最後に,昭和44年度において講じようとする公害の防止に関する施策,が追究されまとめられている。この最初の公害白書は,公害対策基本法にかかわる諸事項について具体的に吟味するためにも,またその後の環境白書との比較の観点からいっても,きわめて意義のあるものといえよう。なお,1970年の公害対策基本法の一部改正とともに,公害関係の諸法律も成立した。たとえば,「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」などがそれである。この第1条は,〈この法律は,事業活動に伴って人の健康に係る公害を生じさせる行為等を処罰することにより,公害の防止に関する他の法令に基づく規制と相まって人の健康に係る公害の防止に資することを目的とする〉と定めている。そして,故意犯・過失犯について,それぞれ処罰を明らかにしている。このように,公害対策基本法は,まさに基本法であるから,付属および関係法令がかなり必要であり,これら諸法令の質量両面にわたる整備が肝要なのである。