●公害 こうがい
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【定義】公害対策基本法は,その第2条において,〈[1]この法律において“公害”とは,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁(水質以外の水の状況又は水底の底質が悪化することを含む。第9条第1項を除き,以下同じ。),土壌の汚染,騷音,振動,地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘さくによるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって,人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。[2]この法律にいう“生活環境”には,人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものとする〉と規定している。この公害についての定義は,公害が自然災害ではなく,事業活動その他の人の活動に伴って生ずるものであることを明らかにするとともに,公害の種類をまとめている。【四大公害裁判】わが国では,経済の高度成長に伴って,公害現象が顕著となり,1967年(昭和42)8月には公害対策基本法が施行された。その後も被害現象が著しく,1970年末の第64臨時国会(公害国会といわれている)において公害対策基本法に重要な修正がなされることになった。また,このような状況において,有名な四大公害裁判が展開されることにより,問題の深刻な性格が明白となっていった。四大公害というのは,新潟水俣病(新潟県阿賀野川流域で発生した有機水銀中毒症)・四日市ぜんそく(三重県四日市)・富山イタイイタイ病(富山県神通川流域)・熊本水俣病(熊本県水俣市とその周辺)のことである。これらは,1967年6月から1969年6月までにわたって提訴され,1971年6月から1973年3月にかけてそれぞれ原告側が勝訴した。これらの裁判は,公害問題を考えるうえで重要な意味をもっている。この四大公害裁判にみられる公害は,いわゆる産業公害が中心となっているが,一方,自動車の排出ガスによる大気汚染や騒音,冷暖房による大気汚染などの都市公害も拡大する傾向がみられる。
【環境権の考え方】都市における高層建築などによる日照権の問題など生活環境をめぐる新しい諸問題が発生してきている。通風権・眺望権も課題となっている。自然・生活環境・文化遺産を守り,享受する権利としての環境権がクローズ=アップされるようになってきた。そして,公害や自然破壊を防止することは,全世界の共通課題として意識されるようになってきた。1972年6月,スウェーデンのストックホルムにおいて,国連人間環境会議が開催された。114カ国と多くの市民団体の代表など約1,200名が参加したが,ソヴィエト連邦・東ヨーロッパ諸国は参加しなかった。この会議は,人間環境宣言を採択した。この宣言は,人間環境の保全と向上に関し,世界の人々を励まし,導くため共通の見解と原則が必要であると考えてなされたものである。原則の一つとして「環境に関する権利と義務」として,〈人は尊厳と福祉を保つに足る環境で,自由,平等及び十分な生活水準を享受する基本的権利を有するとともに,現在及び将来の世代のため環境を保護し改善する厳粛な責任を負う〉という基本的考え方をはじめとして,国際的に公害を防止し,人間の住みよい環境をつくるために必要な諸条件について明らかにしている。公害の防止と環境保全への努力が“かけがえのない地球”を汚染と破壊から守るために,全人類の連帯と協力によって推進されることが期待されているのである。
【環境アセスメント】開発に伴って公害が発生したり,環境が悪くなったりするのをできるだけ防止するために,環境アセスメントという方法が工夫されてきている。これは人間環境を汚染や破壊から守るために,事前に計画を吟味し開発による弊害を未然に防止しようとするものである。つまり,開発が環境に及ぼす影響を事前に予測し,調査しようとするものである。