●広韻 こういん
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中国,宋代の韻書,『大宋重修広韻』の略称。陳彭年らの撰。5巻。文字を音韻によって分類した,いわゆる韻書は,魏の李登の『声類』に始まり,隋の陸法言が『切韻』5巻をつくり,一応完成されたが,のち唐の王仁照らが増補した。『広韻』は,これら増補本の一種であるが,宋の真宗の1007年(景徳4),陳彭年が勅を奉じて増補し,1008年(大中祥符1)脱稿し,『大宋重修広韻』と命名した。本書は,まず平上去入4種の声調に大別,次に母音206種,子音約3,840種に細分し,巻末に双声畳韻法・六書・八書・辯字五音法・辯十四声例法・辯四声清重濁法を付している。韻書の多くは残欠または亡失し,『広韻』だけが完全な形で世に流伝したため,古代音韻研究者にとって重要な典拠とされた。しかし,この書は,明末まではきわめて簡略な注しかもたない本が広く流布していた。清初に顧炎武が,明の内府より発見したのも略注本であった。のちに弟子の藩来が,詳細な注のある古本の善本を発見し,張士俊と協力して刊行したのが,沢存堂本『広韻』(1703年(康煕42)序刊)である。以後,しばしば重刊されたが,近年周祖謨が,これを底本とし,その後発見された各種の写本や残巻まで含めて広く校合し,文字の異同はもとより,音韻史的な検討も加味した校勘を施して,『広韻校本』(1940年(民国29)上海商務印書館,1960年(民国49)北京中華書局重訂出版。上冊本文,下冊校勘記)を刊行し,以後すべて,この『広韻校本』を用いることになった。〔参考文献〕中国語学研究会編『中国語学事典』1958,江南書院