●小犬事件 こいぬじけん
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唱聞師猿楽小犬(しょうもんじさるがくこいぬ)一党をめぐる事件。1476年(文明8)3月6日の『親長卿記』にみられる。この事件の4年前に死去した「宿老大夫」は応仁の乱の前に緩怠の咎を受けて投獄された。しかし大乱に乗じて出獄を果たし,この年3月1日朝廷の口入もあって免罪となった。宿老大夫はその子とされる与四郎の姓からみて京都柳原散所唱聞師猿楽小犬大夫をさすものと思われる。小犬大夫が捕縛され勧進興行から排除されたのは1451年(宝徳3)2月23日で,東山五条の六道珍皇寺境内で勧進猿楽を開催しようとしたさい,侍所輩下のものに解散させられたときである。その裏には,大和猿楽の観世・金春両座の圧迫によって他のものの洛中勧進をみとめぬこととするための妨害があった。そのために小犬一党の排除をしたわけである。これは貴人と結びつくものと,衆人と結びつくものとのあらそいの面ももっている。このような興行権をめぐるあらそいは,近世前期までつづいている。被差別部落人の興行権とつながる面も強い。