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●元典章 げんてんしょう

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 中国,元代の法律書。『大元聖政国朝典草』の略で,本集60巻,新集不分巻より成る。その内容は,詔令・聖政・朝綱・台綱・吏部・戸部・礼部・兵部・刑部・工部に分かれ,それぞれ関係ある勅令・政令・法規・判決例を分類採録し,その数は本集2,400余り,新集200余りにのぼる。時代的には1260年(中統1)から1321年(至治1)までを含み,また,江西・江浙両行省あたりで編まれたと考えられている。そもそも,元代には官撰の総合的な法律書は編さんされなかったので,先例がそのまま法律となり,各衙門で保存がなされていた。したがって『大元通条格』とともに,元代法制研究の重要史料である。ただ,その利用に際して,文章の骨組みはほぼ胥吏の書いた吏牘であるが,それに加えて当時の俗語をまじえた白話によるモンゴル文からの直訳体の部分が少なくなく,一般に難解であるとされている。しかし,元典章の体裁と内容は明律の成立にも影響を与えている。なお,本書の流伝はきわめて少なく,清末にいたって沈家本が上梓され,ようやく流布の道が開かれた。その後,陳垣が1931年(民国20),故宮博物院所蔵の元刻本を中心に,沈刻本を校補したのが『沈刻元典章校補』10巻である。従来は,これらを利用しなければ研究できなかったが,最近は故宮博物院元刻影印本が復刻され,今後は本書を利用した専門的研究が期待される。また,トーマス=ウェードがイギリスにもち帰ったいわゆるウェード本も存在する。