●元朝秘史 げんちょうひし
アジア モンゴル国 AD
モンゴル民族の古典的歴史物語。原題は『モンゴルの秘められた歴史』MonGGolun niGnucha tobchaGhanという。今日に伝わっているのは,明朝の史官がモンゴル語原典を漢字で音訳し,個々の語彙に訳語をあて(傍訳という),かつ一節ごとに大意をとった訳文を付し(総訳という)『元朝秘史』と名付けたものである。「鼠の年」に書き終えたとされているが,その年については1228年(紹定1)・1240年(嘉煕4)・1252年(淳祐12)・1264年(景定5,至元1)・1276年(景炎1,至元13)・1324年(泰定1)などの諸説があっていまだ定説をみていない。本書の内容は,[1]モンゴル族の族祖「蒼い狼」と「白い牝鹿」およびその子孫の系譜,チンギス=ハンの出身氏族の始祖ボドンチャルとその子孫。[2]チンギス=ハンが苦難をのり越えて英雄に成長し,さらにライヴァルを倒して諸種族を平定・統一したこと,統一後,国内の支配体制を整備し,金・西夏・ホラズムへ遠征したこと。[3]オゴタイ=ハンの即位とその内政・対外遠征である。〔参考文献〕村上正二訳注『モンゴル秘史』l・2・3,1970,1972,1976,平凡社