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●言語学 げんごがく

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 言語学は,その名が示すように,言語(lanGuaGe)を対象とし,これについての知識の体系化をめざす学問である。平たくいえば,“言語に関するいっさいの研究”ということになる。もっとも,人間の言語(動物の言語は,この際,対象から除かれる)には,実にさまざまな局面があり,したがって,言語研究にも数多くの分野が存在する。

【言語学の研究分野】まず,人間言語全体に共通する一般原理の研究と,個別言語に関する研究とに大別できる。前者は,一般言語学(General linGuistics)といわれる。後者は,英語学・朝鮮語学・イタリア語学などの名称で呼ばれている。また,これら二者の中間に位置する分野,すなわち,特定の複数言語を扱う分野も存在する。たとえば,同じ系統の諸言語を比較し,それらの親族関係を明らかにし,共通基語を推定する比較言語学(comparative linGuistics),中国語とルーマニア語のように,異なった系統の複数言語を比較し,その差異や類似点を追究する対照言語学(contrastive linGuistics)などがそれである。次に,共時態(sYnchronY)を扱うか,通時態(diachronY)を扱うかという二つの視点が存在する。前者の立場の研究は記述言語学(descriptive linGuistics),後者の立場の研究は史的言語学(historical linGuistics)と呼ばれる。前述の比較言語学は史的言語学の下位区分,対照言語学記述言語学の下位区分,ということになる。もっとも,個別言語の研究では,共時態通時態双方にわたる考察が望ましい。たとえば,中英語(Middle EnGlish)という一時期の研究は,共時態の研究に属するが,やはり,古英語(O1d EnGlish)より中英語への変遷の研究(通時態の研究)の成果を踏まえてこそ,一層深い中英語研究になるものと思われる。次に,言語の内部構造のどの局面を中心に扱うかによって,さまざまな研究分野が存在する。すなわち,音論(音声学phoneticsと音素論phonemicsとに分けられる)・形態論(morpholoGY)・統語論(sYntax)・意味論(semantics)がそれである。一般に,形態論統語論とをまとめて,文法(Grammar)と呼ばれる。このほか,形態論音素論との双方にまたがる分野としての形態音素論(morphophonemics)・語彙論(lexicoloGY)なども存在する。最後に,言語学とその隣接諸科学たとえば,心理学・社会学・生物学・医学などとの境界領域の研究にも触れておかねばなるまい。いわゆるハイフン付き言語学(hYphenated linGuistics),すなわち,心理言語学(psYcho-linGuistics)・社会言語学(socio-linGuistics)・生物言語学(bio linGuistics)・神経言語学(neuro linGuistics)などがそれである。

【言語研究の歴史】言語に関する最古の記述は,前4世紀〜前5世紀のギリシアにさかのぼる。もっとも,この時期の言語研究は,語源や言語の本質に関する素朴な哲学的思索がおもなものであった。古代ローマでは,基本的な文法用語が定められ,中世には,語彙集も若干編さんされた。1786年,イギリス人ジョーンズによって,サンスクリットとギリシア語・ラテン語との類似が指摘され,引きつづき,シュレーゲル・ラスク・ボップ・グリムらによって,これらの諸言語の共通の起源に関する探求が始まった。かくして,19世紀,印欧語比較文法が誕生し,言語学は歴史科学として確立した。その後,ソシュールによって共時的研究が強調され,記述言語学が定着し,やがて,言語の構造に力点を置く構造言語学の全盛期を迎える。1957年,チョムスキーの『文法の構造』が転機となり,その後,変形生成文法理論がアメリカを中心に隆盛をきわめ,30年足らずのあいだにめまぐるしく展開した。その一方で,この理論の欠陥を指摘する声もあり,その評価はまちまちである。