●ゲルマン法 ゲルマンほう
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ゲルマン人の古法。東ゲルマン法と西ゲルマン法の二つに分かれる。東ゲルマン法にはヴァンダル族・ブルグント族・ゴート族などの法があり,ローマ法やキリスト教など古典文化の影響を強く受けている。スカンディナヴィア法(または北ゲルマン法)も東ゲルマン法の部類に入るが,地理的位置から外部からの影響をあまり受けず,古ゲルマンの固有の要素や伝統を濃く保持しており,12世紀以後に記録された。西ゲルマン法はフランク族・ランゴバルド族・アングロ=サクソン族などの法である。西ゲルマン法はローマ法の影響を受けながらも,古ゲルマンの伝統を維持してローマ法・教会法などとともにヨーロッパ大陸に流布し,イギリス・フランス・ドイツなどの法に大きな影響を与えている。
ゲルマン人は,統一国家を建設することもなく多くの部族に分かれて生活していた。このため法においても統一的な法は存在せず,各部族ごとに慣習法が行われていた。しかしそれらの法にも類似性,あるいは共通性がみられる。ゲルマン法は5世紀から9世紀にかけて成文化された。ローマ法が法曹法・都会法・商人法的であり,個人主義的理念の上に立っているのに対し,ゲルマン法は民衆法・農村法・農民法であり慣習法主義・法分裂主義・公法と私法の未分化・法と道徳や習俗の未分化などが指摘され,団体主義的理念に立っているといわれる。
ゲルマン法の内容は,固有の慣習法を成文化したものであり,俗ラテン語で書かれ,多少ゲルマン語も用いられていた。主として刑法・刑事訴訟法からなり,婚姻法・相続法など家族法も若干含まれている。法源としては『サリカ法典』『リプアリア法典』などのゲルマン諸部族法典や,13世紀初頭に成立したといわれる『ザクセンシュピーゲル』などがある。
〔参考文献〕久保正幡『西洋法制史研究』1973,岩波書店
ミッタイス=リーベリッヒ,世良晃志郎訳『ドイツ法制史概説』改訂版,1983,創文社