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●ゲティズバーグ演説 ゲティズバーグえんぜつ

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 南北戦争中の1863年11月19日,ペンシルベニア州ゲティズバーグでの戦没者墓地献納式において,大統領エブラハム=リンカンが行った演説。同地では7月1日〜3日に激しい戦いがあり,南北両軍合わせた参加兵16万3,000人のうち,死者7,000人,負傷者3万3,000人,行方不明1万人が出た。戦死者の霊を弔おうという運動がおこり,11月19日に実現した。主要追憶演説は,ユニテリアン派牧師で元ハーヴァード大学学長,国務長官をつとめたこともある名演説家として名高いエドワード=エヴェレットによってなされた。彼は,2時間に近い演説を行った。ついでリンカンが立ち,3分足らずの短い演説を行っただけであった。エヴェレットのそれと比して,リンカンの演説の呼びおこした反響は小さかった。しかしエヴェレットは翌日,自分が2時間かかってもいえなかったことをリンカンははるかに短い時間で伝えたという旨の手紙を,リンカンに送っている。事実今日“ゲティズバーグ演説”の名で知られているのは,300語に満たないリンカンのそれである。

【創造・死・再生のテーマ】“87年前,われわれの父祖たちは自由の精神にはぐくまれ,すべての人は平等に造られているという信念に献げられた新しい国家を,この大陸に打ち立てた”ということばで始まるこの演説は,創造・死・再生というテーマで貫かれている。すなわち輝かしい未来を約束されて誕生した合衆国であったが,その本来の精神を忘れたために今戦争という災禍をへているのであり,多くの人々が彼らの貴重な命を犠牲にしているのは,アメリカにおける“新しい自由の誕生”のためであると,リンカンは説いているのである。19世紀初めにアメリカで盛んであったエヴァンジェリカル(福音主義的)なキリスト教の影響が,そこにはみられる。表現は簡潔であるが,内容はきわめて深い。また最後の一句〈人民の,人民による,人民のための政治〉は,アメリカのデモクラシーの最良の定義であるとみなされている。

〔参考支献〕高木八尺・斎藤光訳『リンカーン演説集』1957,岩波書店