●ケストナー
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1899 ドイツ帝国
1899〜1974 ドイツの作家。最初は風刺詩人,作家として出発したが,のちに少年小説の作家として名をなす。ドレスデンの貧しい家庭に生まれ,学生時代からすでに劇評などを中心にジャーナリストとして活躍していた。やがて詩集『腰の上の心臓』(1928),『鏡の中の騒音』(1929),小説『ファービアン』(1931)などで痛烈に当時の政治や社会を仮借ない批判と適確な機知をもって風刺し,攻撃した。『ファービアン』は新即物主義の代表的作品といわれている。ナチスの台頭とともに執筆と出版に圧力がかかり,1933年には焚書の措置をうける。以後1945年まで彼の作品はスイスで刊行された。そして作品も少年小説や痛快小説にと変わって行く。第二次世界大戦中には生命の危機に瀕しながらもついに亡命をせずドイツにとどまり,反骨精神を貫いた。戦後はミュンヘンを活動の舞台とし,10年間西ドイツペンクラブの会長もつとめる。作品には上記のもののほかに『エーミールと探偵団』(1928),『点子ちやんとアントン』(1931),『5月35日』(1931),『飛ぶ教室』(1933),『雪の中の3人の男』(1934),『消えた微細画』(1935),『ゲオルクと偶然の出来事』(1938),『動物会議』(1949),『2人のロッテ』(1949),『私が子供だったころ』(1957)など。これらの作品の特徴は,明快で平易な文章のなかに,読者に勇気と希望をもたせ,ほのぼのとした温かさと痛快な読後感を与えていることである。