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●戯作 げさく

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 文宇どおり戯れに詩文を綴ることで中国渡来語だが,近世中期以降は俗文芸の草双紙系小説を指すようになる。すなわち談義本・噺本・洒落本・滑稽本・読本・赤本・黒本・青本・黄表紙・人情本・合巻(ごうかん)までの短編・長編である。早くは漢音のキサク・ギサク,近世中期以降はケサク・ゲサクの呉音となり,ゲサクが主流となっていった。

 1763年(宝暦13)の黒本『膏薬売洛英』(こうやくうりみやこのはなぶさ)の末尾に,〈戯作丈阿〉の署名があり,このあたりから俗文芸に戯作の語が定着していった。初期は女子幼童向きだったが,しだいに寓意と風刺,風俗写実を意図していく。ことに酒落本・読本・滑稽本の和漢混交体写実性,黄表紙の風刺性・人情本の長編物恋愛小説性は,近代文学に大きく影響する。挿絵の特殊な機能,趣向・うがち・穴捜し・茶など,多彩な小説技法を案出した。

〔参考文献〕中村幸彦『戯作論』1966,角川書店