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●KJ法 ケイジェイほう

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【KJ法の始まり】KJ法は,全世界の人々が創造的で幸福な人生を歩むことを願い,日本人の文化人類学者川喜田二郎によって生み出された,創造的問題解決の思想と方法である。川喜田は京都大学地理学科の出身で,研究対象を地域,すなわち野外とした。そこから得られるデータは実験料学と異なり,種々雑多であった。この異質なデータのなかから,どのようにして全体像の筋道をつかみ,新しいみかたを生み出すか。彼は,この新しい科学方法論の模索を1951年ごろから自覚的にスタートさせ,「KJ法」(登録商標)を創案した。これは,仮説発想型の学問の研究方法であり,その名称は,川喜田のイニシャルをニックネームとしたのが慣用によって定着したものである。

【KJ法の利用】学問の研究方法として創案されたKJ法は,今日,日本の社会の各界・各層に幅広く普及し,大きな影響を与えている。KJ法を利用している分野には,精神療法・品質管理・新製品開発・マーケティング・地域開発・経営計画・創造性開発,そして個人・小集団・組織などの開発である。なぜ,このようにKJ法が活用されるにいたったのかという理由は,KJ法が渾沌(こんとん)から秩序を生み出す方法だからである。ひとことでいうなら,「バラバラな情報をまとめ,そこから発想する方法」といえる。

【KJ法のステップ】広義の意味のKJ法は,素材の収集からその組み立てまでをさす。狭義には,素材の組み立てのみをさす。なお,関連的には,素材の収集法として「タッチネッティング」という取材技法が確立されている。狭義のKJ法のステップは,[1]ラベルづくり,[2]グループ編成,[3]A型図解化,[4]B型叙述化,からなっている。[1]はさまざまな素材をKJ法でまとめやすくするために規格を統一する作業。1枚1項目でカード(多くは「KJラベル」を使用)に記入する。[2]のグループ編成は,ラベルひろげ,ラベル集め,表札づくりからなる。ラベルひろげで,記入されたラベルをトランプよろしくよく切って並べる。次に,何回もラベルを読みつつ主張の似たラベルをセットにしていく(ラベル集め)。このとき,どのセットにも所属しないラベルが出てくるが,これを「一匹狼」と呼ぶ。ついで,集まったラベルのセットの全体の主張のエッセンスをとらえ,ラベルに1文にしてつづり,もとのラベルの上に重ねてクリップや輪ゴムで束ねる(表札づくり))。すベてのセットに表札がついたら,一匹狼といっしょにして再びラベルひろげに移り,全体が数個のセットになるまで,このグループ編成を繰り返す。[3]のA型図解化は,空間配置と図解化からなり,数個に集約されたラベルの束を模造紙などに図解として展開する作業である。これは,個々のラベルを構造として把握する段階といえる。[4]のB型叙述化は,文章化もしくは口頭発表からなり,掌握された全体像をストーリーとしてつづる段階である。ここでさまざまな発想が湧くことになる。

【創造的問題解決技法としてのKJ法】KJ法はそもそも創造的に問題を解決するために生み出された。問題解決,これを「一仕事(ひとしごと)」と呼んでいるが,人間は一仕事の達成を通して創造的産物を生むと同時に,自らも成長するという思想に支えられた技法がKJ法である。現在,この基本モデルとして,体験を通じて行われる方法「W型問題解決モデル」が確立されている。KJ法は,スポーツと非常によく似ている。知識だけではなく,体験を通して初めてわかる,という方法だからである。このため,KJ法本部では,正規な訓練コースと,実力の水準を示す段級制ならびに公認インストラクター制が敷かれている。

〔参考文献〕川喜田二郎『発想法』正・続,中央公論社

川喜田二郎『知の探検学』講談社

川喜田二郎『パーティー学』社会思想社

川喜田二郎監修『KJ法実践叢書』1〜3,プレジデント社