●経国美談 けいこくびだん
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政治小説。「斎武名士(せーべめいし)」という角書(つのがき)がある。矢野龍渓著。2巻からなり,前編は1883年(明治16)3月,後編は1884年2月,報知社刊。1882年,立憲改進党結成に参画した龍渓が過労のため病床にあったとき,古代ギリシア史を読み,正史に記されていない部分を小説で補いつつ口述筆記したもので,従来の戯作小説でもなく,また単なる歴史叙述でもない新しい政治小説をつくりだしている。専制国家スパルタの支配を脱して,民主国家セーべの独立を勝ち取ろうとするペロピダス,イパミノンダス,メルローなどの志士の活躍を描くことで,現実の日本における政治理想を訴えようとしたもの。志士たちが隣国アゼンに脱出し,計を用いて帰国して敵を破るところ,ペロピダスと佳人レオナの愛,レウクトラの会戦などは魅力的で,政治小説の傑作として『佳人之奇遇』と併称される。〔参考文献〕『矢野龍渓集』明治文学全集15,1970,筑摩書房