●食わず女房 くわずにょうぼう
アジア 日本 AD
女に化けた鬼や蜘蛛からの厄難を克服する昔話。飯を食わない女を欲しがる男のもとに望み通りの女が来て夫婦になる。ところが,飯を食わないにしては米が減る。不審をもった男が隠れて覗くと,女は頭上の口に飯を投げ込んでいる。男が暇を出すと,女は桶に男を押し込め,担いで山へ行く。途中で男は脱出し,菖蒲と蓬の茂みに隠れる。女は鬼婆となって追いかけてくるが,菖蒲と蓬のために近づくことができず,男は助かる。この日が5月5日だったので,それから五月節供には菖蒲と蓬を葺くようになったという。このほかに,男の逃亡を知った女が,蜘蛛に化けて命を取りにきたところを囲炉裏の火に叩きこんで殺す語り方がある。前者は,東日本に多く分布し,節供の由来を説く点に主眼が置かれている。後者の型は,西日本に顕著で「夜の蜘蛛は殺せ」の俗信と結びついて語られるが,蜘蛛の侵入を大歳の晩と語る例も多く,本来,歳の夜と関わって伝承されてきた昔話と考えられる。