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●グレゴリウス(トゥールの)

AD540 

 540ごろ〜595 ランク王国のトゥールの司教で,歴史家。オーヴェルニュでガリアの有力なローマ系貴族の家柄に生まれる。クレルモンの司教であった伯父ガルス,ついでその後継者アウィトゥスのもとで教育を受けた。病気治癒のためトゥールへ赴き,573年にそこの司教に就任。トゥールの司教として彼はメロヴィング朝の諸王の内訌(ないこう)にかかわり,フランクの政治事情に通じていた。彼の著述に『教父列伝』『奇跡録』などのほか,10巻からなる主著『フランク史』がある。第1,2巻は天地創造に始まり,511年のクローヴィス王の死まで,第3,4巻は575年のシギベルト王の死まで,第5〜10巻は591年までを扱っている。司教就任以後の記述は彼自らの見聞にもとづいており,史料的価値が高い。彼のラテン語は不正確で,文体は拙劣で,その神学知識は浅薄であるが,6世紀ではまれな教養人であった。