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●グリム兄弟 グリムきょうだい

ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1785 ハプスブルク朝

 兄Jacob(1785〜1863),弟Wilhelm(1786〜1859) 兄のほうはゲルマン言語学・民族説語学の創始者。兄弟はともに,司書をへたのち,ゲッティンゲン大学の教授となる。のち政治事件に連座して追放される。兄弟の協力の成果のなかでも代表的なものが,『子供と家庭のメルヒェン』(1812〜22)3巻で,通称グリム童語として世界中の人々に親しまれているものである。ヘルダーから始まった上流文化に対する民族文化の再評価は,ロマン派に受け継がれていくが,グリムは,民族文学とは,原始の黄金時代に人問の素朴な心情から溢れ出た“自然詩”が,そのまま庶民のあいだで伝承されたものであり,一般の創作文学とは根源的に価値を異にするものであるととらえている。このような確信にもとづいて彼らは,民間説話として流布しているメルヒェンを収集した。ここにはロマン派の時事感覚を反映して,ドイツ民族の統一と栄光を現在に再現しようとする思いが働いている。弟の文学的意図による書き換えなどに関連して,最近その民俗学的資料としての信憑性が問い直されてはいるが,ともかく“読むメルヒェン”としてそれは独自の価値をもち,世界中で聖書の次に最も広く読まれている本として,グリムの名を不滅なものとしている。文学的色彩の濃いメルヒェン集に比べて,『ドイツ伝説集』2巻(1816〜18)は知名度は低いが,学問的資料としては貴重なものである。兄の偉業といえる『ドイツ文法』4巻(1819〜37)は,ドイツ語における子音変遷を体系化して示した“グリムの法則”を紹介した大著である。兄弟の最後の学問的業積は,『ドイツ語辞典』16巻(1854〜1961)で,すべての単語を語源的・歴史的に解説し,豊富な用例を掲げている。Fの項の途中まで兄弟によって執筆されたが,以後は歴代の学者によって,1世紀以上かけて完成され,現在,ドイツ語最大の辞典である。

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