●熊祭 くままつり
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アイヌ語でイオマンテ。字義通りにはクマ送り。一種の霊送り儀礼であり,シマフクロウ送りとともに,重要な儀礼である。アイヌ社会では,クマは神からの贈り物であり,来訪者として人間界に毛皮や肉をみやげとしてもたらす霊的存在である。人々はこれを丁重にもてなし,供物・木幣(イナウ)など,多くのみやげをもたせて送り帰してやらねばならねものとされている。儀式は,子グマを山で生けどりにし,コタンで1冬〜3冬,大切に飼育したのち,冬期のその年のクマ猟が始まる前に,古老の指揮のもと,厳格なしきたりに沿い行われる。初日は儀式の無事を祈るとともに,本祭の準備をする。次の日の本祭は神々への祈りののち,花矢と呼ぶ装飾矢で子グマを射,霊を慰め感謝の祈りを捧げ,酒宴に移る。最終日は神の霊を送り,大饗を行い式は終わる。アイヌのクマ送りに類似の儀礼はニブフ・ウィルタなど北東アジアに分布するが,クマを殺す際,なんらかの儀礼を行う伝統は広く,北シベリア・北アメリカ北部の森林地帯に住む狩猟民族に多くみられるという。こうした儀礼は残酷にみえるが,彼らの神観念の立場に立った見方も必要であろう。