●屈家嶺文化 くっかれいぶんか
アジア 中華人民共和国 AD
中国の湖北省京山県屈家嶺遺跡を標準とし,江漢平原に集中的に分布している新石器時代の文化。早期の石器には,大型の長方形や柱状の石斧と片刃石斧が多い。土器は黒陶の多いのが特色で,朱色の文様が描かれた薄手の卵殻黒陶碗,透かし彫り高足の杯,罐(かん)形短足鼎や,盤・盂(う)などがあり,紡錘車はやや大きく黒灰色で文様がない。中期の石器には,各種の斧のほかに,方形のシャベルや,庖丁・鎌・鑿(のみ)・鏃(やじり)・矛などがあり,土器の紡錘車や骨製やすなどもある。また大量の稲穀の痕跡が発見され,豚や犬の骨が多く出土している。これらのことは,当時すでに稲作農耕が行われ,紡織や家畜の飼育,漁撈・狩猟が行われていたことを示している。土器は灰陶が主で,黒陶がこれにつぎ,紅陶は少ない。長頸で高台つきの扁腹壺,高台つきの杯,釜形短足鼎,罐・鍋などがある。彩陶も種々あるが,紅色と黒色で文様を描いた卵殻杯は優れている。孔のある玉製装飾品や,土器の鶏なども出土している。住居は長方形で,粘土と紅焼土塊で基礎がつくられており,北部よりにやや高い焼土台をもつ住居もある。晩期の石器で目立つのは,三稜式の鏃と棒形の錐などである。直径2,3mの円形で浅い堅穴式住居や,基礎が地面より高く,四周に焼土の斜面がある長方形の多室住居が発見されている。埋葬の人骨から,当時抜歯の風習があったことが知られ,環太平洋文化の影響をうかがわさせる。屈家嶺文化は,年代的には仰韶(ぎょうしょう)文化廟底溝類型よりは新しく,河南龍山文化よりは古いとみなされている。〔参考文献〕文物編集委員会編『中国考古学三十年』1981,平凡社
具塚茂樹『中国古代再発見』1979,岩波書店