●鯨 くじら
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ほ乳類最大の動物で,クジラ目に属し,90種以上に及ぶ。一般に大型のものをクジラ,小型のものをイルカというが,区別は明確でなく,クジラとイルカの両様に呼ばれるものもある。動物学上は有髭鯨と有歯鯨に分けられ,有髭鯨ではセミ鯨・ザトウ鯨・イワシ鯨・ナガス鯨などが捕獲されてきた。有歯鯨はおもにイルカと呼ばれるが,ツチ鯨やマッコウ鯨は,この仲間の小型鯨で,捕鯨方法の未熟な時代にも捕られた。鯨漁の初めは,いわゆる寄り鯨を処理したものだろう。寄り鯨は死鯨や傷付いた鯨が海岸に打ち寄せられたものをいう。積極的な捕鯨用具としてホコが記録に登場するのは室町末ごろがらとされ,江戸初期には銛に綱を付けることが工夫されている。捕鯨を専門にする積極的な業体も生じ,尾張・伊勢・志摩・紀伊などの諸国で盛んとなった。江戸幕府が成立すると沿岸諸大名は,次々に鯨組をつくり,やがて突取法から網取式の捕鯨法が開発されて,従来は捕獲できなかった大型鯨も対象となった。網取法の起源は熊野太地浦とも肥前大村藩ともいわれる。明治時代にノルウェー式汽船捕鯨法の採用により近代捕鯨業へ発展するが,地球上の鯨頭数の減少が,動物保護運動から叫ばれ,国際的捕鯨反対の勤きとなり,日本など捕鯨国にとっては大きな問題になった。なお,鯨をエビスとみなして漁獲物をもたらす神聖なものとする伝承は広く認められ,鯨の宮参りの伝承や鯨の墓・塚などもある。三重県などには古くから鯨にまつわる行事が行われている。なかでも鯨突きの祭は有名である。
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