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●グアテマラ

北アメリカ グアテマラ共和国 AD 

 正式の国名はグアテマラ共和国(Republic of Guatemala)。中央アメリカ北端に位置し,メキシコと東北はベリーズ,東はホンジュラス・エルサルバドルに接する国。国名は1524年,この地方を征服したスペイン人のペトロ=デ=アルバラードが建設した都市グアテマラの名に由来する。その原名はアズテク語クアウテメラン(Quauthtemellan 鷲族の国)の意とされる。面積10万9,000平方km,人口1,032万人(1996),首都グアテマラシティ。

【風土】国土は北海道と四国を合わせたより少し大きく,中米ではニカラグアホンジュラスに次ぐ。国土の3分の1を占める中央山地が中核をなす。メキシコからシエラマドレ山脈の延長で高度は1,000〜2,000mで,首都も海抜1,502mの地にある。南縁に沿って火山帯・地震帯が走り,最高峰のタフムルコ山(4,220m)など活火山と休火山とが並ぶ。熱帯にあるが高度による差が大きく,海抜800〜1,800mの地域は年平均気温が20℃前後で常春と呼ばれる風土である。

【国民】人口の約55%がインディオで,マヤ系・キチェ系などユカタン半島と共通である。約35%がラディノ(スペイン人とインディオの混血)で,白人(クレオール)は5%を占めるにすぎず,スペインの植民化があまり拡大しなかったため,ヨーロッパ人や黒人の大量移民をもたらさなかった。政治・経済の実権はクレオールとラディノが握り,インディオは大部分が農民で文盲率も高い。公用語はスペイン語で,インディオの言語も広く用いられている。宗教は国民の90%がカトリック教徒である。

【歴史】マヤ文明の栄えた地に,メキシコの征服者コルテスの副官アルバラードによって,1524年に征服された。1821年メキシコの独立を契機に,グアテマラ総監領が独立を宣言したが,メキシコは離脱を認めず,1823年中央アメリカ連邦を結成したが,対立と内乱後,1839年単独の国として独立した。1847年には共和制を採用した。1898年アメリカ資本のユナイテッド=フルーツ社が進出し,バナナやコーヒーのプランテーションを行った。以来政治的にも親米的な独裁政権がつづいた。1944年,革命がおこり,アレバロ大統領は社会主義的な改革の道を歩み,1950年アルベン=グスマンは改革を更にすすめ,大規模な農地改革と主要産業の国有化をはかり,社会主義国に接近した。しかし,1954年に革命により反共法が成立した。1966年には文官大統領が就任したが,1970年の選挙では軍人が政権を握り,軍部と極右の少数独裁に対する左翼ゲリラが勢力を伸ばし,政情はきわめて不安な状態で,1981年に独立したベリーズの領有権を主張し,両国間は緊張関係にある。

【文学・芸術】文学では他の中米諸国と同じく,社会派が優勢である。このなかにあってグアテマラ最大の詩人・小説家・劇作家のM.A.アスツリアス(1899〜1974)は有名である。彼は風刺小説『大総領閣下』をはじめ,独裁政治やインディオの問題に目をむけ,古代ヤマ文明と現実の国家の姿とを融合した作家で,1967年ノーベル文学賞を受賞した。マヤ文明の中心地ワサクツンから南へ20km離れたティカルには六つのピラミッド型神殿(高さ43〜70m)があり,土を盛り,石灰岩としっくいで固め四面を階段状に構成し,頂に木造の建築物があったとされ,そこには絵や神聖文字が刻まれている。また,カミナルフユ(現首都近郊)周辺では,二つの古墳の下に12余りの墓も発見され,ピラミッド式石碑と確認されている。アンティグアのサン=フランシスコ聖堂バロック様式(18世紀)の趣があり,18世紀前半には建築家D.ポレスが,旧プラサ=レアル(王の広場)にもネダ館を手がけ,端正な柱を配置している。