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●近隣組織 きんりんそしき

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 村落を内部区分する組織,あるいは住居の近接や日常的な互助関係によって結ばれる家の連合組織。一つの村落に構成原理を異にするいくつかの近隣組織が複合的・重層的に存在して機能を分担していることが多く,しかもそれらの相互関係や名称は地域,または村落ごとに異なる。このように複雑な内容をもつ近隣組織に関して,その編成基準を指標に分類すると,村組・近隣組・トナリ関係に三分できる。

【村組】村組は,村落内をいくつかに分画した地域単位の組織である。その名称は地域によって異なり,ヤシキ・カイト・カド・ニワバなど宅地またはその一部を示すものと,カクラ・コガ・コバ・ヤトなど地表の小区画を意味するものに2分類できる。前者は,九州と奥羽の大半およびその中間にも点在して分布範囲が広い。村組は村落生活の必要性から生じたもので,その形成は各村落の歴史的発展と深くかかわる。[1]村落の発展に伴って二次的に分化したもの,[2]独自の発展形態をもつ小集落が他と合併したためその下部組織として存続したもの,[3]近隣組が転化したものなどが考えられる。したがって,区分の基準や機能に地域的変差が強くみられる。また村組の独立性が強く,村組で山野を共有あるいは共同利用したり,新入者の加入は組入りをもって行われる場合がある。村組の機能は,[1]生業・家普請・屋根普請などの労働協同や祝儀不祝儀の手伝い・災厄の援助など日常生活上の互助機能,[2]道普請・水番・共有林の下刈りなど村落の共同作業の分担,[3]秋葉・天王など村落創始とかかわる古い小祠や地蔵・観音などの小堂の祭祀,あるいは庚申・日待ちなど講祭祀の単位と多岐にわたる。

【近隣組】一定の基準戸数をもって村組をさらに区分する組織。歴史的には,近世の五人組と明治初頭にそれを改編した五伍組・什長組などの隣保組織に規制されている。五伍組は五人組を廃して新たに“家並五戸”を基準に再編されたが,明治22年の市町村制実施により,旧村が行政単位でなくなったため法制面からは消滅した。が,実際には生活共同の機能を維持する必要性から住民自体による編成が行われたため,名称や機能は村落によってまちまちに展開した。近隣組はその成立の事情を反映し,それぞれの講成要因により村落行政の最末端機構という機能をもっている。その長を通しての伝達・徴収・村落行政の役員選出の単位となる。また近隣交際として,冠婚葬祭の手伝い,宴の招待や贈答,吉凶の見舞い,屋根普請の協同などの互助共同の機能もある。近隣組は,法制的要請による制度化を契機に村落や村組の性格に規定されつつ整備されたため,名称や規模において全国的に一定の規格性がみられる。他方,村組はその発生が自発的で,政治的外因にかかわるところが少ないため地域差が顕著にみられる。両者の結成原理の違いから,村組は村落の内部を地域区分する組織,近隣組は家々を一定戸数ずつにまとめる組織と性格づけることができる。また,両者の構造的組み合わせは村落の規模によってさまざまである。一つの村落に2種類以上の近隣組が存在したり,それに相当する組織がなく村組だけの場合もある。

【トナリ関係】村組・近隣組が定型的な集団を形成するのに対し,トナリ関係は家並に即して家ごとにもたれる関係で,明確な集団を示さない。各家は相互的あるいは一方的な関係の組み合わせによって,ときには村組や近隣組の範囲を超えて結ばれる。一般に近接居住の家で構成されるが,地親類など系譜関係をも含んで複合的関係によって結ばれることもある。冠婚葬祭などの際に互助の中心として働き,親類同様のつきあいをする。また,関係が連鎖状に村落を一つの輪につなぐ場合もある。それは単なる互助組織だけでなく,村落の連絡網としても機能する。

〔参考文献〕竹内利美「近隣組織の諸型」『東北大学教育学部研究年報』15,1967

社会伝承研究会『近隣組織の構成と展開−−社会伝承研究IV−−』1975

福田アジオ『日本村落の民俗的構造』1982,弘文堂

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