●金瓶梅 きんぺいばい
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中国、明代の長編小説。100回。作者は蘭陵の笑々生となっているが、不明である。16世紀の終わりから17世紀の初めにかけて成立し、はじめは鈔本(写本)で流布したが、1610年(万暦38)ごろ蘇州で初版が刊行された。テキストには、出版後まもなく別人が手を加えた改訂本と、原作に近いとされる『金瓶梅詞話』の2種がある。この小説は、『水滸伝』の武松の虎退治をプロローグとして、山東省清河県の旧家出身の西門慶が、金と権力をむさぼる生涯の物語である。彼は、正妻の呉月娘のほかに季嬌児・孟玉楼・孫雪娥・潘金蓮・李瓶児の妾をもち、放蕩な生活を送って、媚薬を限度以上飲んで急死する。西門慶を中心とする官能的な性の描写そのものが、意図するところではなく、明末の腐敗・堕落した社会の実態、人情をあますところなく描き出すことが目的であった。そのために、性生活を含めた人生と社会の赤裸々な描写が無情なまでに大胆であり委曲であったのである。中国では、この『金瓶梅』は、『西遊記』『三国志演義』『水滸伝』とともに四大奇書と称され、明代の代表的な長編小説であり、文学史的にも、単なる好色小説にとどまらず、明末社会をリアルに描いたものとして高い評価を得ている。この書の流行につれて、続作が多く出た。中国では紫陽道人網『続金瓶梅』『隔簾花影』などがあり、日本では江戸末期に滝沢馬琴が翻案して『新編金瓶梅』を出した。
〔参考文献〕小野忍・千田九一訳『金瓶梅』(中国古典文学大系33〜35)1974、平凡社
