●キンディー
AD801
801〜866 イスラーム世界最初の哲学者。南アラビア,キンダ族の貴族出身のため「アラブの哲学者」と敬称される。801年ごろクーファに生まれ,バスラとバグダードで学ぶ。のちアッバース朝のカリフ,アル=マアムーンとアル=ムータシムの好遇を受け,多くのキリスト教徒らの協力を得て,アリストテレスの『神学』『形而上学』,プトレマイオスの『地理学』など,260以上のギリシア古典のアラビア語翻訳に貢献した。数々の文献を翻訳した結果,百科全書的にいろいろな学問に通じ,イスラーム知識人(ハーキム)の典型となった。彼は論理学・哲学・天文学・音楽・数学を含む人間学と預言者に啓示される神学の二つを区別し,かつそれが完全に調和しなければならぬと論じた。こうしてイスラーム世界におけるペリパトス学派の祖となったが,カリフ,ムタワッキル時代には,正統主義神学に迫害され,不遇のうちに866年ごろバグダードで没した。著書『知性編』等はラテン語訳された。