●ギルド社会主義 ギルドしゃかいしゅぎ
ヨーロッパ 英国 AD
第一次世界大戦前後イギリスで流行した社会主義。20世紀初頭,イギリス労働党勢力の頭打ち,社会主義実現後も労働者の根本的解放の見込み不十分,サンディカリズムの導入などにより,フェビアン社会主義的労働党への批判から拡大。1906年ペンティ,A.J.の『ギルドシステムの復活』で口火,過去の運動が富の不公平を攻撃しても人間の創造的活動の回復に不注意と批判し,社会主義も官僚的と批判。トム=マンの『産業サンディカリスト』の影響で一連のストライキ(直接行動)発生。1915年コール,GD.H.がフェビアン協会を脱け全国ギルド同盟に参加し理論実践で大発展をとげた。[1]富の不平等→物質的幸福よりも人間的自由を重視し,[2]各産業を労働者の自治組織なるギルドが管理,[3]国家の役割を低め他のギルドと同じとし,多元的国家論を採用,[4]生産者ギルド,消費者又は受益者ギルドの双方に地区・地方・全国レベルの会議を設け,両者の会議で問題解決。この組織をコミューンと呼称,[5]この協同社会実現のためには労働組合の“侵蝕政策”つまり機能と権力の移動を通じて経済上の力を奪取していくが,議会的方法よりも直接行動を選ぶ傾向が強い。しかしできれば漸進的ともいう。労働党本流に不満な急進的労働組合に広まり,1921年全国建築工ギルドが出現したが,実践面の異論で分裂し衰退した。社会主義の理論と運動のなかに人間としての自由の問題をもりこませた功績は大きい。人間性を重視するというイギリス的特色が顕著である。