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●巨人伝説 きょじんでんせつ

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 巨人の伝説は世界的に存し,日本の伝承もそれらに対比すべきものが多い。『古事記』『日本書紀』などの古代神話によれば,大八島国を生んだイザナギ・イザナミの対偶神は,天父・地母の性格をも有したらしい。イザナギの両眼からは日神と月神が生まれたと伝えるが,これはニュージーランドのマオリ族の天空神ランギの両眼が日月であるという伝承,ハーヴェイ諸島の天空神ヴァラテアの両眼が日と月であるという伝承,さらには中国の盤古(はんこ)など巨人解体の伝承にも通ずるものがある。スクナヒコナノミコトの対偶神とされ,国引きを行ったオオクニヌシノミコトも巨人として観想されたのかもしれない。『播磨国風土記』には,〈昔土人あって常にかがまり歩き,播磨国託賀郡に至ってはじめて背を伸ばした〉とあり,その踏み跡が沼になっているという。これは天に頭がつかえたアイヌの一眼巨人や,地に低く接する天を押し上げた沖縄のアマンチュウの話にも似ている。山を背負い,踏み跡が沼になったという話はまたダイダラボッチの伝説として日本各地に存する。そのほか鬼八法師や金八坊主,九州地方にあって八幡神仰に包摂された大人弥五郎など,さまざまな巨人の伝承が語られている。

〔参考文献〕柳田国男「大人弥五郎」『妖怪談義』1956,修道社,(『定本柳田國男集』4)

柳田国男「ダイダラ坊の足跡」『一目小僧その他』1934,小山書店,(『定本柳田國男集』5)