●玉澗 ぎょくかん
アジア 中華人民共和国 AD
(13世紀・年代不詳)中国南宋末から元初の画僧。日本美術史に著名な『廬山図』『瀟湘八景図』の作者と比定されているのは,天台の僧・若芬(じゃくふん)玉澗である。浙江省金華の出身で字は仲石。杭州の上天竺寺の書記となり,のち郷里に帰り,“澗”の意である谷川に近い景観の地に亭をたて「玉潤」と号し文人と交遊したという。【廬山図】もと京都広隆寺の什物(宝物)『廬山瀑布図』の大画面を佐久間将監が入手し,茶室にかけられるよう三幅に切断したものである。
【瀟湘八景図】将軍足利義政が巻物を切断し,幅装させ,「八景」のうち「山市晴嵐図」「遠浦帰帆図」「洞庭秋月図」の三幅のみが現存する。いずれも美しい省略画法,微妙な光明の変化を表現し個性的な特色をもつ作品は,牧谿の作品とともに日本の室町期水墨画に強い影響を与えた。
〔参考文献〕戸田禎佑『牧谿,玉潤』水墨美術大系3.1978,講談社