●行政学 ぎょうせいがく
AD
行政学は行政を認識対象とし,行政現象を研究する社会科学の一分野である。行政法学のように法規範の観点から行政を把握しようとする立場と異なり,今日いう行政学はむしろ政治学の発達に助けられ,公共目的達成のための組織や管理過程,人間の集団現象としての行政活動などに着目して,その機能と構造を実証的・動態的に追究することを目的としている。現代行政学の成立は,19世紀末から20世紀初頭のアメリカやイギリスにおいてのことであるが,その原因として,[1]政府機能が質量ともに増大・専門化したため行政権が強化され,いわゆる行政国家化現象が生じてきたこと,[2]高度の産業資本主義の発展にともない,科学的管理技術が発達してきたこと,[3]社会科学,なかでも政治学が発達したこと,の3点をあげることができる。
アメリカにおいて現代行政学が成立する以前にも,行政現象を研究しようとする学問的努力はなされてきた。たとえば,16世紀以来ドイツ重商主義のもとに発達した官房学がそれであり,行政学の起源とさえいわれてきた。しかし,君主官房の財政強化と人民統治の効率化に貢献したとはいえても,人民が手段視され,君主家計的財政と国家的財政が十分に区別されず,恣意的な政策決定と執行とが警察という概念で正当化されるなど,官房学が現代行政学と直接つながりをもつものとはいえない。その後,シュタインは“警察”を“憲政”と“行政”に二分して,“憲政”の“行政”に対する優位を説いてシュタイン行政学を確立したが,シュタイン以後は法治主義原理にもとづく行政法学へと発展していき,行政学の研究は行政法学の盛んなヨーロッパを離れ,アメリカに移ったといえる。日本においては,戦前東京帝大で蝋山政道,京都帝大で田村徳治が行政学を講義していたが,実質的にその研究が開始されたのは第二次世界大戦後のことである。
現代の行政学を,[1]技術的行政学,[2]機能的行政学に分けることができるが,一般的傾向は制度的・技術的・静態的な研究から,動態的・価値的・過程的な研究に移っており,政治学・社会学・心理学・経営学・経済学・財政学などの研究協力を得ながら,より実証的な学問として発展しつつある。