●郷紳 きょうしん
アジア 中華人民共和国 AD
中国の明清時代の地方有力者。現職・休職・退職を問わず郷里の官僚を呼んだことば。郷紳の語は宋代からあるが,社会階層として重きをなすのは明代中期以後からである。彼らは官僚の徭役免除の特権を利用し,土地兼併を行って,郷里の大地主になるとともに,その配下の奴僕を駆使して,高利貸,農産物の投機販売・不動産取引など商業活動にも手を染めた。また門下や家僕を胥吏や衙役として地方官衙に入りこませて徴税・裁判・治安維持・救恤などの地方政治を左右した。地方官も彼らを無視できない存在となった。そのため郷紳は,清代中期以後,土豪劣紳と呼ばれて革命運動の打倒目標となったが,国家と人民の中間にあって官僚の代理人であると同時に民衆の指導者という側面もあり,民衆の教育・教化・世論指導などに自ら任じ,自己の隷属下の佃戸はいうに及ばず,経済支配外の自作農などの他の諸階層にも影響を及ぼし,土地所有にもとづかぬ郷村支配を行った。