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●教科教育学 きょうかきょういくがく

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 学校教育における教科教育に関する体系的で実践的・臨床的・実証的な学問体系。1966年(昭和41),日本教育大学協会が「教科教育学の基本構想案」を発表して以来,教科教育学の学問的性格・体系等に関する議論が急に活発となった。これよりさき,1961年に広島大学教科教育懇話会が設立され,ついで1967年には広島大学教科教育学会が発足した。また,1975年には,日本教科教育学会が成立している。大学院における研究体制としては,1966年に,日本で初めて広島大学大学院教育学研究科のなかに「教科教育学専攻(修士課程・博士課程)」が設置され,また1978年には,同大学教育学部に「教科教育学科」の設置が認可されている。その間,「教科教育学」の成立と育成に貢献してきた日本教育大学協会研究促進委員会は,すでに『教科教育学に関する研究総目録』を第7集まで刊行して,「教科教育学」の研究促進をはかった。「教科教育学」の成立過程を略年表にしてみると,次の〔表1〕のとおりである。

〔表1〕

1961(昭和36)

 広島大学教育学部に「広島大学教科教育懇話会」が設けられた。

1966(昭和41)

 広島大学大学院教育学研究科に「教科教育学専攻(修士課程・博士課程)」の設置が認可された。

1966(昭和41)

 日本教育大学協会が「教科教育学の基本構想」を発表した。

1967(昭和42)

 広島大学教科教育学会が創立された。

1975(昭和50)

 日本教科教育学会が創立された。

1978(昭和53)

 広島大学教育学部に「教科教育学科」の設置が認可された。

「教科教育学」の基本的性格や定義,および学問研究の方法については,なお多くの議論がある。教育科学に属する他の学問領域(たとえば,「教育史」「教育社会学」「比較教育学」「教育方法学」など)と違って,アメリカ・西ドイツ・フランスなどにおいても完全な意味での「教科教育学」が成立していないことにも由縁するであろう。平田嘉三は,〈教育科学・心理学(発達心理学教育心理学が中心)・専門諸科学に支えられた総合的な実践科学としての教科教育学は,科学としての臨床的・実証実験的側面と,原理・法則に基づく豊かな実践的側面とをもつ。そのためには,なによりも教育科学・心理学・専門諸科学の原理と,児童・生徒を中心にすえた教科実践との組織的体系的統一が必要である〉とする。宮本光雄(長崎大学助教授)は,〈総体としての教科教育学の存立根拠は,学校における教育実践を通して,一人の生きた人間の現実的総体としての人間形成にあり,全一的な人間の育成にある〉と述べている。また,蛯谷米司(福山大学教授)は,〈教科教育学は,教科教育の教育活動としての機能や目的・目標,内容,方法決定の原理などを論ずる“教科教育基礎論”と,それらを具体的な活動に組織するための教科の設定・区分など教科と文化や,社会と教科教育などの関係を考察しながら,教授−−学習の場を,どのように具体化するかなどを論ずる“教科区分論”,さらにそれらを教師と学習者の関係から考察し,教授の原理や学習の原理を明らかにするとともに,未来の可能性を追求する“教科教育実践論”によって成立する〉と説明している。現在,広島大学教育学部教科教育学科は,「国語」「社会」「外国語」「数学」「理科」「音楽」「体育」「家政」の教科教育を包括して成立しており,通常,「教科教育学」「教科教育方法学」「教科内容学」の三つの講座をもっている。

〔参考文献〕日本教育大学協会研究促進委員会編『教科教育学研究』1984,第一法規出版