●教育社会学 きょういくしゃかいがく
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【概念】教育社会学は,教育を社会学的に研究する学問であり,教育を社会事実として認め,社会的機能を有し社会的に規定された過程ないし制度であると認められることから出発している。【歴史と性格】教育社会学は,今世紀初頭,アメリカにおいて制度的に成立した。当時アメリカでは,プラグマティズム的思想を背景にして,学問にも技術的・応用科学的な考え方が強く,教育社会学も社会問題解決の手段として教育をとらえたり,カリキュラム構成の客観的基礎を与えるための科学として自らを性格づける傾向があった。つまり教育社会学は「教育がいかにあるか」という事実判断ではなく,「教育がいかにあるべきか」という価値判断を重視し,科学的価値より実践的・規範的価値を重んじた。こうした初期の教育社会学は「教育的社会学」と呼ばれる。
これに対して,第二次世界大戦後,ブルックオーヴァーなどが「教育の社会学」を主張し,教育社会学は客観的・実証的・没価値的な社会学の下位領域であるべきとされた。その結果,第二次世界大戦後,教育社会学は多くの国で順調に発展し,学問的市民権を得るとともに,教育実践および教育政策に対しても大きな発言力をもつにいたった。つまり,戦後の教育社会学の最大の特徴は,応用科学から純粋科学へと脱皮し,価値判断に代わって事実分析に自らの使命を限定したことにある。そのため,パーソンズ・マートンに代表される「機能主義」をおもな理論枠組みとし,研究方法には実証的手法を用いることが多い。
しかし,1970年代に入ると,批判的なラディカル社会学などの影響により,イギリスにおいて教育社会学の新しい方向が示された。これが「新教育社会学」である。その主張によれば,機能主義は一方では社会の統合を前提とし,没価値性を強調するが,まさにそのために社会の現体制維持に奉仕している。さらに,主唱者ヤングによると,新教育社会学は合理局性や科学のドグマに挑戦し,とくに知識の社会的組織の問題,すなわちある知識や基準がなにゆえに,またいかにして教育を支配するようになるかをこそ,問わねばならない。しかし,新教育社会学が提唱されて10年以上をへても,具体的かつ実証的な研究はあまり生み出されていない。そのため,1980年代に入ると,教育社会学は,アメリカを中心とした精緻化された実証研究と,イギリスなどを中心とする微視的・解釈学的研究とに二極分化する傾向が出てきている。
【研究領域】教育社会学には三つの主要研究領域がある。その第1は,いわば「社会としての教育」。教育を一つの社会的な事実・活動・現象・体系・制度と考え,その社会構造・社会過程・社会関係・社会規範を研究する。たとえば,形式的・非形式的な社会集団としての学校や学級の実態,教授・学習過程の構造を分析することである。第2の研究領域は「社会から教育へ」,つまり教育に対する社会的規定条件の研究である。たとえば,政治・経済・マスコミ・地域社会など,各種の社会や集団が教育にいかなる影響を及ぼすかの研究。しかし,教育は社会から規定されるだけではなく,社会に対して各種の影響を与えている。こうした教育の社会的機能が,第3の「教育から社会ヘ」という研究領域である。最近,校内暴力・非行など,教育の機能不全,葛藤現象が顕著になっている。これらの教育病理は教育社会学にとって重要な研究対象であり,この分野はとくに教育病理学と呼ばれる。
最後に,教育社会学の今後の課題として,第1に,計量的手法の精緻化とともに現象学的・解釈学的手法の開発,第2に従来不問にしてきた価値判断の問題,第3に教育実践への貢献,などがあげられる。
〔参考文献〕日本教育社会学会編「教育社会学研究」年刊,東洋館出版
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