●急逓鋪 きゅうていほ
アジア 中華人民共和国 AD
中国のおもに元代の,駅伝制度の一つ。世相(フビライ)のころに始まる。宋・金代にも同名の施設はあるが,それらは軍事情報の伝達などに目的が限定されており,中央官庁と地方官庁とのあいだの公用文書の送達を目的とした,元代のそれとは異なる。元の急逓鋪は,同時代の一般的駅伝制度(站赤)とも区別される。後者が,陸路では馬・牛,水路では舟を用いたのに対し,急遞鋪では鋪兵(鋪丁)と呼ばれる飛脚が,文書送達にあたった。急遞鋪は,通常の駅(站)と駅とのあいだにさらに数カ所ずつ設置され,各鋪舎には数人の鋪兵が待機して,送達の迅速化をはかった。また通常の駅站では,馬匹の供給など,駅の経営の一部を負担しうるだけの資力ある站戸が,その管理にあたったが,鋪兵は,站戸とはなりえない貧乏なもののなかから選ばれた。〔参考文献〕羽田亨『元朝駅伝雑考』羽田博士史学論文集(上)1957,東洋史研究会