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●旧人類 きゅうじんるい

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 化石現生人類の一群で,通常,最初の発見地名にちなんでネアンデルタール人と呼ばれる。地質年代で中部更新世末から上部更新世初頭にかけて,リス/ヴュルム間氷期〜ヴュルム氷期中ごろまで生存していた人類で,ほぼ10万年代から3万年代前の絶対年代をもつ。南・北アフリカ,ヨーロッパ,西アジア,中国などの各地から発見されており個体差にかなりの変異が認められる。一般にヨーロッパでは,中部更新世に属するものを暖期(進歩的)ネアンデルタール,上部更新世のものを寒期(典型的)ネアンデルタールと呼んで区別しており,またヨーロッパ以外の発見例をネアンデルタロイドもしくは類ネアンデルタール人と呼ぶこともある。おもな形態学的特徴は,[1]脳容積は1,300〜1,600cc,[2]低頭で額は後方に傾斜する。[3]眼窩上隆起が発達し,下顎骨は頑丈で,[4]四肢は短かくて太く,大腿骨は彎曲している。さらに尖頭器・掻器を主体とする特徴的な剥片石器を多く伴うムスティエ文化に代表される石器文化をもち,それらは地域によって道具の種類や形態が多様であることから,類ムスティエ文化,ルバロワゾ=ムスティエ文化,東ムスティエ文化などに分けられている。1856年,西ドイツのデュッセルドルフ近郊のネアンデルタール洞穴で発見された推定40〜50歳の男性人骨が,更新世人類として最初に記載された例である。以後,100体以上に及ぶ標本が発見されている。フランスのラ=シャペル=オ=サン洞穴では成人男性人骨が屈葬されており,またラ=フェラシー岩陰では7個体分の人骨が発見された。ともにヴュルムII亜氷期に年代づけられ,ムスティエ文化遺物を伴っている。東ドイツのワイマール近郊の採石場で発見されたエーリングスドルフ人は,リス/ヴュルム間氷期に位置づけられ,スウォンズクーム人(イギリス)やシュタインハイム人(西ドイツ)などとともにネアンデルタール中間型と呼ばれ,いわゆる進歩的ネアンデルタール人に含まれるものであるが,その系統関係については意見が分かれている。また,宗教的意味をもつとされる埋葬人骨の出土例もある。ソ連邦中央アジアのテシク=タシュ洞穴では,8〜10歳の少年人骨が山羊の角に囲まれて埋葬されており,またイラクのシャニダール洞穴では7個体分の人骨のうち,身体障害や傷を受けた例のほかに埋葬にさいし花が供された痕跡が認められた。イスラエルのアムッド洞穴ではルバロワゾ=ムスティエ文化と後期旧石器文化との移行型を示す石器群を共伴している。中国の陝西省大茘県で発見されたほぼ完全な頭骨は,東アジアにおける旧人類の一つの類型を示すもので,北京原人よりはやや新しいと考えられている。日本での発見例は,愛知県豊橋市の石灰岩採石場から得られた牛川人が中部更新世後期に位置づけられているが,頭骨がないため,その類縁関係については不明である。

〔参考文献〕埴原和郎編『古人類』人類学講座4,1981,雄山閣