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●旧辞 きゅうじ

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 くじともいう。大和朝廷において6世紀初頭前後に述作された神話伝承。現存しない。『古事記』序文のなかに引かれた天武天皇の詔に〈朕聞く,諸家のもてるところの帝紀及び本辞,既に正実に違ひ,多く虚偽を加ふと〉云々とあり,また〈故に惟れ帝紀を撰録し,旧辞を討覈し,偽を削り実を定め〉云々,また〈帝皇の日継及び先代の旧辞を誦習せしむ〉とある。また『日本書紀天武天皇10年(682)3月17日の条に川嶋皇子らに詔して〈帝紀及び上古の諸事を記し定めしめたまふ〉とある。これらによってみれば,ほぼ帝紀と併記され,補完関係にあるとみられるので,帝紀が歴代天皇の日継・治世の記録であるのに対して,旧辞は神話・古伝承,とくに神話の記述であるとみられる。これは帝紀ともども5〜6世紀の国家成立の歴史的自覚にもとづいて政治的に潤色著述されたもので,『古事記』著作の材料ともなり,改作の対象ともなった。『本辞』,『先代旧事』,『上古諸事』は同義別称であろう。