●櫃坊 きぼう
アジア 中華人民共和国 AD
中国,唐代後半から宋代にかけて,長安などおもに大都市で客から保管料を取って銭貨や金銀類を預かった店。櫃とは木製の堅牢な箱のことで,石製や金属製もあったであろうが,客の貴重品を安全に保管するための箱を備えていることからこう呼ばれた。折りからの貨幣経済の発達に伴い,大量の銅銭を移動する不便さから,商人たちは櫃坊に銅銭を預け,その保管証を小切手のように使用し,代金決済や運搬授受に利用した。それゆえ,その業務には萌芽的ながら信用経済にもとづく銀行機能の一端がみとめられる。しかし宋代になると,史料上,しばしば官の取り締まりを受ける賭博場として現れ,健全な発展をとげなかったようで,そのためかやがて元代に入るとまったく姿を消した。