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●覊縻政策 きびせいさく

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 中国が周辺の異民族に対してとった統御政策の呼称。古くは漢の時代にもみられるが,唐の時代に最も巧みに利用された。唐は周辺の異民族・諸国家に対し政治的・軍事的・文化的に従属関係をつくりあげたが,これらの具体化が領域化(内地化)・覊縻・冊封などであった。領域化は支配地に内地と同じ州県を設置し,唐朝から官僚を送り込んで,そこの住民を唐の国法下に置いて直接支配することであり,冊封は周辺民族・国家の首長に唐の官爵を与え唐王朝の支配秩序に組み込むことである。これらに対し,覊縻は覊縻府(都督府)州県が設置され,その地域の異民族首長や有力者を唐王朝の統治長官として任命する形式をとった。したがって官制の面からみればこの統治長官は唐の地方官制に組み込まれるが,異民族の伝統や社会はそのまま認めつつ統御することであり,この政策の性格は領域化と冊封の中間にあたるものであった。覊・縻はともに馬をつなぎとめるたずなの意があり,異民族を統御し中国の支配下につなぎとめておく意味に使用されている。

〔参考文献〕栗原益男「七・八世紀の東アジア世界」『隋唐帝国と東アジア世界』1980,汲古書院刊