●キニク派 キニクは
ヨーロッパ ギリシャ共和国 AD
犬儒学派。アンティステネスを祖とするギリシア哲学の一学派。この名は,アンティステネスが教鞭をとったアテナイ近郊のキュノサルゲスの地名,または,シノペのディオゲネスの“犬のような生活”をさげすんだ,あだ名「犬」に由来するといわれる。この派のおもな人々は,アンティステネス,シノペのディオゲネス,テーベのクラテス,ヒッパルキア,メトロクレス,ビオンらで,前3世紀ごろが盛んだった。彼らは徳と哲学を尊重し,精神と肉体の鍛練によって世俗的な欲望や快楽を退け,自足自制で自然に従う簡素な生活をし,権力に束縛されぬ自由を求めた。しかし,奇行で知られるアンティステネスが無欲のみを徳とする理想と忍耐と諦めによる哲学は,ともすると社会への諷刺や嘲笑が先行した。その後衰えたこの学派は,1〜2世紀道徳的に堕落したローマ時代に,デメトリオス,デモナクス,オイノマオスらにより復した。ルキアノスに対し“乞食のような生活態度”とのキニク派批判もある。