●狐女房 きつねにょうぼう
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異類との婚姻をテーマとした昔話の一つ。ある男が狐を助ける。狐は女に姿を変え,訪ねてきて嫁になる。男の子をもうけるが,あるとき,狐の姿にもどったところを子供にみつけられる。女は〈恋しくば訪ねてきてみよ信田の森〉と書き残して山に去る。そこを訪ねていくと狐が現れ,鳥の話し声のわかる聴耳をくれる。子供はその聴耳を用いて出世する。聴耳の代わりに,男の家に米をたくさん授けて豊かにするという内容もあり,これは狐を田の神の使いとする信仰との結びつきによるものであろう。狐と人間との交渉を語る話は古く,『日本霊異記』に狐とのあいだに男子をもうけたという話がある。『御伽草子』「木幡狐」も同様である。説経や浄瑠璃の「信田妻」の話は,陰陽師安倍晴明の伝説となっているが,昔話との関連は深い。とくに語り伝えて歩いた人達との関係が指摘される。〔参考文献〕折口信夫「信田妻の話」折口信夫全集2,中央公論社
関敬吾『昔話の歴史』1966,至文堂