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●キッシンジャー外交 キッシンジャーがいこう

北アメリカ アメリカ合衆国 AD 

 戦後アメリカの対外政策は,その圧倒的な軍事力・経済力の優位にもとづいた対ソ封じこめ政策=冷戦と,西側の援助=パックス=アメリカーナの体制の実現・維持によって成り立っていた。しかしながら,ソ連の軍事力増大・西側諸国の経済復興は,このようなアメリカの隔絶的な地位を相対的に弱め,とりわけて1960年代のヴェトナム戦争は,アメリカ経済にとって耐え難い負担となりつつあった。このような時期に,ニクソン大統領のもとで大統領特別補佐官となったヘンリー=キッシンジャーは,アメリカの国際的地位の低下を幻想なくリアルにとらえ,米ソの軍事力の2極化を事実として是認し,アメリカの国際的役割の地域への肩代わりや,デタントを通じた軍事力負担の軽減と,対中接近による中ソ関係へのクサビの打ち込み,北ヴェトナムの孤立化による“ヴェトナム化”政策の実現を目ざし,成功した。キッシンジャー外交により,世界政治は米中ソの三極化を押し進めつつある。

〔参考文献〕桃井真監修『キッシンジャー秘録』全5巻,1979,小学館