●基礎学力 きそがくりょく
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学校教育において児童生徒が身につけるべき知的能力として,将来の発達のための基礎となるものを意味するが,基礎の意味をどこにおくか,学力に対する要求や期待が何であるかによって,基礎学力には多くの定め方がありうる。【意義・定義】教育の分野を家庭・学校・社会と大別すれば,学校での基礎学力は家庭の教育機能にもとづくとも考えられ,また,社会の教育機能に対しては学校での学力がその基礎となる。義務教育が組織化されるときには,その終了後,社会生活を送るのに必要な諸能力の基礎となる最低必要限度の学力ということになる。これは,ミニマム=エッセンシャルズといわれ,学校教育で学習される基礎的知識や技能として,各科目のなかにも基礎的学力とみられるものはあるが,各科目の学習のための基礎となる独自の科目の学習そのものを意味する場合もある。従来は,国語と数学がそれに相当するとされ,いわゆるスリー=アールズ(読み・書き・計算)が代表的な基礎学力とされてきた。しかし,その内容水準が時代の進展とともに変化し,さまざまなひろがりや深まりを示すとともに,社会生活の向上のために,社会科や理科のような科目の学習も基礎学力としてみなすようになった。専門的な職業技術教育と対比した一般普通教育は,成人・市民として生活するための最低必要な教養を身につけさせるものであり,それもひろい意味で基礎学力ということもできる。学力に対する社会の要求の変容に伴って,基礎学力の定義・内容・水準は変動する。
【基礎学力をめぐる論議】日本で基礎学力の問題がとくに論議されるようになったのは,1950年ごろ,その低下問題が現実的課題となったからである。第二次世界大戦後の新教育は,児童中心的で経験や自主的活動を重視してきたが,その反面,読み・書き・計算の基礎学力の不十分さが,多くの学力調査やテストで裏付けられた。それが新教育への批判とあいまって大きな争論の的とされた。他方では,いわゆる客観的な評価で判定される読み・書き・計算の能力の低下がそのまま基礎学力の低下といえるのかどうか,むしろ学習者が直面する問題の解決のための能力や生活上の対応能力・適応力が新しい意味での基礎学力というべきだという見方も支持が多い。要するに,基礎学力の概念・構造は,学力そのもののあり方と密接な関連をもっている。基礎学力を論ずるためには,言語・思考・数の能力と人間の認識能力との関連を明らかにすること,学力の基礎とみられるものを教授学的・心理学的・生理学的さらには社会科学的に分析すること,児童生徒に身につけさせる指導方法の向上に努めること,将来予測される基礎的一般教養との関連に留意すること,国際的な視野からの検討も含めること,などが重要である。