●箕子朝鮮 きしちょうせん
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韓氏朝鮮ともいう。朝鮮古代の伝承上の王国。始祖の箕子は殷の最後の王,紂王の叔父で,紂王の無道な政治を諌めた賢人であった。周の武王が殷を滅ぼしたとき,武王は箕子を朝鮮に封じたという。箕子は朝鮮において8条の教えをつくり,民を教化したので,民は門戸を閉めなくとも物が盗まれないようになったという。その後,前195年ごろ前漢,恵帝時代にいたって,中国,燕国からの亡命者衛満が,箕子の後孫箕準を逐って,衛氏朝鮮国を建てた。箕準は南方に逃れ,辰国に依って韓王を称したという。箕子の伝承は,歴史的事実とは別に朝鮮の慕華思想・儒教崇拝の高まりによってますます発展し,高麗時代には平壌に箕子陵や廟が建立され,李朝時代に入ると箕子井田の跡が喧伝されるにいたった。このように箕子伝承が流布し定着したのは3世紀ごろ,楽浪郡の豪族韓氏が中国古典の箕子伝承を利用して,自己の系譜の装飾をはかったことに始まるという。