●騎士 きし
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西ヨーロッパ中世における戦士階級の一般的呼称。ドイツ語ではRitter,フランス語ではchevalierというが,それはいずれも「乗馬の人」を意味したことばであり,歩兵は含まれない。ひとたび戦時となると,鎖帷子(くさりかたびら)とかぶとに身をつつみ,腰に剣,右手に槍,左手に盾と手綱をにぎって馬上の人となった。封建社会の支配階級たる領主層は,封土の授受を媒介とした主従関係で結ばれていたが,騎士はそのなかで下層の中小領主を構成していた。しかし,騎士制度自体はそうした縦の身分関係に,必ずしも拘束されなかった。つまり,王族の子弟といえども,一定の訓練と修養をつんだのち,騎士叙任の儀式をへなければ,正式に騎士を名のることはできなかったのである。この制度は古ゲルマンの従士制に起源をもち,8世紀のフランク王国で採用された騎乗戦術と結びつき,十字軍とともに確立していった。したがって,最盛期は11〜13世紀で,そののち,職業的な傭兵の登場と火器の使用に伴う戦術の変化により,しだいに軍事的意義は失われた。また,諸国の中央集権化が進むなかで,騎士の多くは国王や領邦君主の廷臣と化していった。