50音順    検 索

●義児 ぎじ

アジア 中華人民共和国 AD 

 中国でおもに唐・五代の権力者が自己の勢力基盤を強化する目的で設けた一種の養子。一般には仮子(かし)と呼ばれる。私的な結びつきのなかで最も安定しているのは血縁によるものであるが,その結合範囲はきわめて限定されたものとなる。そこでこの血縁関係を擬制し,主従関係に割り込ませて支配権を強化したものが仮子であった。権力者は擬制的な父(仮父)となり,有能な人材を選んで擬制的な子(仮子)とし,彼らに仮父の姓を与え,名も実子と同じ命名法によって改名した。これらの現象は隋末唐初,安史の乱前後,唐・五代の3期,いわば国家権力が不安定な時期に集中して現れた。仮父は独立的傾向の強い節度使が圧倒的に多かった。仮子仮父とのあいだで集団型仮子と,個人的に仮父子関係を結ぶ個人型仮子の2類型があった。前者は主体的性格をあまりもたず仮父の親衛隊的役割を果たしたが,後者はより主体性をもち,仮父支配下の武将・地方官・節度使などの職務についた。唐末五代では,仮父子関係の結びつきが最も盛んに行われたが,仮子はほとんど主体的性格をもった個人型仮子であった。五代2番目の王朝である後唐の明宗や最後の王朝後周の世宗(柴栄)などは個人型仮子として皇帝になった。

〔参考文献〕栗原益男「唐五代の仮父子的結合の性格」史学雑誌62−6,1953

栗原益男『乱世の皇帝』1968,桃源社