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●起居注 ききょちゅう

アジア 中華人民共和国 AD 

 中国の日記体官撰記録。皇帝の言行・起居を記録するという意味で,皇帝近侍の官が撰録するところから,その官をもまた起居注といった。『周礼』に左史・右史があって,天子の左右に侍し,左史はその言を,右史はその事を記することをのべているが,これが起居の起源である。記録に残るものとしては,後漢の『明帝起居注』が最初である。隋唐時代には,起居注修撰は制度として完備され,起居注官は毎日皇帝の起居言動を記録したが,皇帝の起居言動はそのまま天下国家の動きであるから,起居注はそのままひろく国家の記録であるとみなされた。そして,毎日書きとどめて,四季の終わりごとに史官におくり,史官はこれを整理しておいて,皇帝が死ぬと,これをその皇帝の一代記すなわち実録とした。このような性質をもつので,起居注が現存すればはなはだ貴重な史料となるが,現在所伝の知られるものは,明末万暦帝以後の3皇帝分と,清朝全代のものだけである。起居注は,実録とともに,本来は朝廷の秘録に属し,外部につたわらないはずのものであるが,古く東晋ごろの起居注が日本にも伝来し,『六国史』など,日本の修史体例の上に,大きな影響を与えた。

〔参考文献〕今西春秋「明の起居注に就いて,同補正」史林19−4,20−1,1934,1935

川越泰博「清代起居注の典拠資料について」『鈴木俊先生古稀記念東洋史論叢』1975,山川出版社

加藤直人「清代起居注の研究」東方学 57,1979