●企業内教育 きぎょうないきょういく
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企業が主体となって,その活動に必要な職務能力の向上や人材の育成を目的に,自社の従業員を対象として行う教育訓練。現代産業社会では,社会の諸活動に参加する職業人としての資質は,基本的には学校教育によって身につけられると考えられている。しかし,学校での教育は,基礎的・一般的な性格をもち,個々の企業が実際に必要とする知識・技術を身につけさせるものではない。また,科学技術の進歩の速い現代では,学校で取得された知識・技術の陳腐化の速度も速まるから,絶えず新しい知識・技術を学習していかねばならない。ここに企業内教育の必要が生ずる。【企業内教育の歴史】わが国の企業内教育は,封建時代の徒弟教育をその前史としており,すでに1878年(明治11)には,印刷会社の「秀英舎」が職工を養成する職工学校を独自に設置した例もみられる。その後産業が軽工業から重工業へと発展を遂げ,生産労働が専門分化し始めると,熟練工を計画的に養成する必要が生じ,企業内の技能養成所がみられるようになった。さらに1939年(昭和14)には,青年学校の義務化により,多数の工場青年学校が出現した。職場の第一線の指導者たる職長の教育の必要性が意識されるようになったのもこのころであり,1941年(昭和16)には,厚生省労働局長より,部下労務者の指導者であり,中間管理職でもある職長の資質を,小座談会・講義・講演・文書などの方式で養うようにとの通達が出された。第二次世界大戦後には占領軍総司令部の指導により,現場の監督者層に対するTWI(Training within Industry for Supervisor),中間管理職に対するMTP(Management Training Program),上級経営者層に対するCCS(Civil Communication)などのアメリカ式定型訓練が導入され,成人教育としての,また,私教育としての企業内教育の成立をみた。さらに昭和30年代の技術革新の進展により,オートメーション化やコンピュータの導入に対応する人材の必要性が高まり,企業内教育のブームともいわれる時代が到来した。とくに大企業では,企業内教育を系統的に行うために,人事・労務部門に教育担当部局が置かれることが多くなっている。
【企業内教育の種類】企業内教育は,専門別にみれば,事務糸・販売系・技術系などの職能系列の必要に応じた教育がなされる。また,これを段階別にみれば,新入社員のオリエンテーション教育・中堅社員教育・中間管理職教育・上級経営者教育などがある。わが国の企業内教育は強力な新入社員教育によって企業への忠誠心を培う点に特色があり,近年,海外の社会学者や文化人類学者の注目を集めている。
【企業内教育の形態】職場外訓練(Off the Job Training, Off-JT)と職場内訓練(On the Job training, OJT)とがある。職場外訓練は,仕事から離れて教育を施すもので,他企業の行う専門技術の教育訓練を受けさせたり,大学などの教育専門団体へ派遣(留学を含む)したりする場合もある。これに対して職場内訓練は,日々の業務遂行のなかで,仕事の実際的場面に即して上司から教育されるものである。仕事への即効性を求められる企業内教育では,この職場内訓練が中心と考えられており,職場外訓練は職場内訓練の補助手段として位置づけられる。
【企業内教育の課題】企業内教育は企業の経営目的と直結した能力の開発や人材の育成をめざしているため,その効果も,目先の経済的効果によって判定される。したがって,従業員自身の人間形成という観点を欠く傾向がある。そこで,生涯教育の立場から,入社から定年までを従業員の発達過程としてとらえ,各時期における従業員の能力を最大限に伸ばせるような長期的プログラムを考案・実施することが望まれる。
〔参考文献〕桐原葆見・永丘智郎編『職場教育−職場訓練の理論と方法』1961,東洋経済新報社
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