●議会 ぎかい
AD
国民の意思を代表・決定して立法作用を行う合議制の機関。議会の名称・組織・権限は国によって異なり,議会政治の発展とともに変化してきた。議会は13世紀,イギリスの等族会議に起源があり,貴族・僧侶・騎士・市民の各身分を代表する者を集めて組織された。この制度がヨーロッパ諸国に採用されて議会の原型となった。19世紀の自由主義・民主主義思想の台頭とともに,絶対君主の専制支配を排して法の支配・法治主義にもとづく政治の要請が強まって,議会は広く国民から選挙された議員によって組織され,立法権を中心に重要な国政に参与する機関となったのである。【議会政治の原理】議会がその政治的機能を発揮するためには次の三つの原理にもとづいて運用されなければならない。[1]代表の原理:議員は支持母体である個別的な住民や団体の利益を代理するのではなく,全国民を代表するものでなければならない。代表の理念は代理とは異なる。[2]審議の原理:議員は公開の場で自由に討議して議会の意思を決定する。そのさい,全員の一致による決定が望ましいが,それは容易ではない。そこで次善の策として多数の決定に従うのである。この多数決の原理は,議会で多数を占めた政党が少数政党の意見を無視してはならないのであって,多数党と少数党が共存しうる可能性を求めていく努力が大切である。[3]行政監督の原理:執行機関として国政を担当する行政府に対して,民意を代表する議会は不断に監視しなければならない。行政府は常に議会を通して国民に責任を負わなくてはならない。
【議会の構成】議会が一院のみの場合と二院の複合体の場合がある。従来は両院制(二院制)の場合が多かったが,最近は一院制を採用する国が多くなっている。一院制をはじめて採用したのは1789年のフランスの国民(革命)議会であった。その際,シェイエスは二院制に反対して〈第二院が何の役に立とうか,もしそれが下院と一致するときは無用であり,もし下院に反対するならばそれは有害である〉と述べている。すなわち,主権は不可分であるから,主権を代表する議会も単一でなければならないと主張するのである。それに対して,ソヴィエトやアメリカのように多民族国家や連邦国家の場合は,民族代表や連邦代表の議会を必要とするであろう。またイギリスのように貴族の存在を認めている場合は,その社会的伝統から貴族院(上院)を設置しているなどさまざまである。それ以外にも,両院制を採用する一般的理由としては,審議が慎重となる,多数党の横暴を除去する(数の代表と理の代表),下院解散のときに国政を補充するなどがある。両院制を採用する場合,両院の機能について法制上平等とする国と不平等とする国がある。日本国憲法は多くの場合について,衆議院の優越性を認め,参議院を第二院的なものにしている。
【議会の活動と権限】議会は常設の機関としてつねに活動するわけではない。ふつう一定の期間(会期)だけ活動する。議会に議案が発議または提出されると,イギリスや旧憲法下の日本のように,つねに全員の本会議で審議する議会制という方法をとる国と,ただちに本会議を開くことなく,原則としてまず適当な委員会に付託し,その審査をへて本会議に上程するという委員会制をとるアメリカや現憲法下の日本のような場合がある。議会の権能は立法機関として法律を制定することであるが,予算や条約承認という行財政に関する重要な権限を認めているのが普通である。今日,三権分立主義の原理から形式上は議会が唯一の立法機関である。これを徹底しているのがアメリカであって,議員立法のみを認めて政府提出立法は認めない。しかし多くの国は,議員立法とともに政府の法律発案権を認めている。現代は,国民の多様な要求や社会の複雑化にともない,国家機能の拡大・専門化をもたらし,その結果,政府立法や委任命令の比重が大きい。
〔参考文献〕『世界の議会』全12巻,ぎょうせい