●広西チワン族自治区 カンシーチワンぞくじちく
アジア 中華人民共和国 AD
中国南部の省級の自治区。東は広東省,北は湖南省・貴州省,西は雲南省,南西はヴェトナムに接する。面積は22万400平方km,人口2,084万(1978推定)。チワン(壮,僮)族を初めとした,非漢民族が全人口の3分の1以上を占めており,区域自治のたてまえから1958年(民国47)3月5日,旧広西省の区域に広西チワン族自治区として成立した。主都は南寧市。1978年現在6市(南寧・柳州・桂林・梧州・憑祥・北海),8地区に分かれ,72県8自治県に細分される。【地勢】北西が高く,雲貴高原南部に属し,そこから東へ苗嶺が貴州・湖南両省との境界を走っている。省内の大部分は低い両広山地が占め,そのあいだに盆地を形成している。北部の桂江流域の桂林などではカルスト地形により独特の風景がみられる。山地が多いため文化の伝来が遅れていたが,華南で最も重要な航行河川である珠江が,鬱江・柳江・桂江などの大きい可航支流を合わせながら,雲貴高原から自治区の中央部を流れており,おもな都市はこの沿岸の河港として発達してきた。支流の桂江上流には,秦の始皇帝が開いたとされる霊渠があり,華中の楊子江の支流である湘江上流に通じることができる。気候は平地で熱帯的,山地で亜熱帯的である。5〜9月までは気温が高く,多雨で季節風の影響を受けやすい。逆に冬は北風によって気温が低く,乾燥して,雨も少ない。山が多いため耕地は全面積の12%にすぎないが,珠江沿岸のせまい平野では灌漑が行き届き,米の二毛作が行われ,区外に移出されている。畑作ではサツマイモ・アワ・トウモロコシ・落花生・タバコを産し,南寧地方ではサトウキビを産する。北部の山地ではマツ・スギの用材が切り出され,柳江によって運ばれる。また桐油の生産は中国でも有数のものである。鉱産物は,賀県のスズの生産が雲南についで中国第2位である。工業は人民共和国になってから,南寧・桂林・柳州・梧州を中心として,セメント・マッチ・化学・紡織などが発展している。
【交通】古くから珠江水系の舟運が多く利用されてきたが,現在は鉄道も四方に発達し,湖南省衡陽から桂林をへてヴェトナムに通じる湘桂鉄道,柳州から貴州省貴陽に通じる黔桂(けんけい)鉄道,黎塘から広東省湛江に通じる黎湛(れいたん)鉄道があり,5市を結ぶ自動車道の整備とともに陸運の根幹を形成している。
【沿革】自治区は現在,チワン族・ヤオ族・トン族・ミャオ族などの多くの少数民族が居住しているが,古くから百粤(ひゃくえつ)の地と呼ばれ,非漢民族の住むところとされてきた。しかし秦のころからこの地方が中国の版図に組み入れられるようになると,しだいに漢民族が移住してくるようになった。秦の始皇帝のときには,この地に桂林・象2郡が置かれ,前漢の武帝のときには蒼梧・鬱林2郡に改置された。その後,唐では嶺南道に,宋では広南西路に,元では湖広行省に属した。明では,太祖のときに広西布政使司が置かれて広西省として独立し,清・中華民国をへて現在の自治区にいたっている。
![]()