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●閑吟集 かんぎんしゅう

アジア 日本 AD 

 中世歌謡集。一巻。編者不詳(宗長の編という説もある)。序文によれば,富士を遠見する庵に10余年間隠栖し,音楽を愛好する,和漢の文学・儒教の知識豊かな,上流人士と推定される。1518年(永正15)8月に編成を終えたもの。所収歌は,当時流行した短小な詩型の広義の小歌で,『詩経』の詩篇名数の311首を収め,各首に付された略号によると,小歌233首,大和猿楽47首,近江猿楽2首,田楽10首,狂言歌謡2首,放下歌3首,早歌7首,吟詩句7句を採る。配列は,春・夏・秋・冬・恋の部立てをほぼ守りながら,各首の主題や語句の類似や連想によって,連鎖させ展開される。内容は,庶民の心情を吐露したものが多く,楽天的・解放的な気分が色濃く流れるが,それが虚無的・刹那的態度の誇示と表裏一体となって,室町時代の世相と人情をよく伝えている。その表現は,この種小歌を三条西実隆や山科言継が作詩しているように,和歌的伝統や先行歌謡や同時代芸能を踏まえた洗練されたものである。