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●環境デザイン かんきょうデザイン

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 日本では,人間が行動をする生活空間を全体的に把握しデザインをすることをその目的としている。具体的には室内・建築・屋外・造園・都市・景観などの生活環境を構成する諸分野のデザインを総合的な観点より有機的に関連づけ,より正常な永続性のある生活環境を具現化することを志向している。米国を代表とする西欧諸国では,都市計画学を根幹として生活に関係する自然地理学・人文地理学・法学・政治学・社会学・経済学・心理学・生態学・医学などの諸学問分野を包括し,生活環境のデザインの在り方について,[1]デザイン=プロセスの客観化およびそのモデルの構築,[2]デザイン=プロセスへの体系的なアプローチの適用,[3]個人や集団の創造的な問題解決への示唆,[4]人間−環境関係に関する社会的・行動的知識の開発,という観点にもとづき現象の解釈を主とする原理的・基礎的なものから,制度や具体的な問題の解決に資するための考究にいたるまで,きわめて幅の広い学際的な対象として考えられている。日本の場合は直接的な技術・表現というきわめて現実的に限定された内容に重点が置かれているが,米国では人間生活の環境の在り方について文明論・文化論という次元の内容までも含んで語られているところに大きな立場の相違が認められる。これは“環境”という用語の解釈と歴史的な対応の蓄積およびこの用語がもつ諸学問分野への広範囲な適応性にその原因があると考えられる。“環境”という用語は元来は生態学で用いられている述語である。A.コント(1798〜1857)によってmilieu(媒体・周囲・境遇)ということばが生物学の世界に導入され〈環境とは一般に,すべての一定の有機体の生存に必要な何等かの種類の外部条件の全体である〉と定義された。このmilieuという概念がUmgebung,environmentとなり,H.スペンサー(1820〜1903)により生物学の術語として1864年に普遍化されたといわれている。その後,生態学の根幹をなす概念として発展し,日本では当初は“環象”と訳され,その後“環境”となった。この生態学上の概念が〈動物としての人間〉という観点に適応され,次に社会性という要素が加えられ〈人間の生活環境〉という意味で一般化された。生態学の環境という概念は応用生態学ともいえる形で各分野に方法論として導入され「環境デザイン」という立場もこの延長線上にあると考えられる。なお環境という文字の初出は『元史』(1370)余闕伝のなかの〈環境築保寨〉であるが,この用例と現在われわれが理解している意味とのあいだには関係がない。

室内デザイン】インテリア・デザイン(interior design)とも称せられる。室内空間を機能的・心理的・生理的・技術的・造形的な観点より考え,おのおのを有機的に関連づけ,より合目的に快適な生活空間を計画し設計をすること。具体的には室内の床・壁面・天井を構成する造作,家具や器具,照明・テキスタイル・色彩,その他関連する諸設備をデザインし,それを用いて総合的な配置計画をして室内空間を構成することを目的としている。対象となる領域は,単に住宅内部にとどまらずオフィス・商店・公共施設などの建築内部,車両・船舶・航空機などの交通機関にも及ぶ。インテリア=デザインを構成する分野のなかで,家具・テキスタイル・照明に関しては,機能・材質・加工技術などで独自の知識と豊富な経験が要求されることにより,おのおのを専業とするデザイナーがいる。実際に室内空間をデザインする場合,すでに製品化されたそれらのなかから取捨選択をし,使用するのが一般的である。日本には“室内”という〈外部より隔絶された独立した空間〉という考え方の伝統がなく,むしろ屋内空間と屋外空間が連続しているという認識が一般的である。このような意味で西洋と日本とで具体的な物をデザインをする場合,解釈の差が生ずる。たとえば“室内装飾”の意図などは理解できにくい一面をもつ。独自の生活文化を具現化するものとして考えるべき面をもった分野である。

屋外デザイン】エクステリア・デザイン(exterior design)とも称する。インテリア=デザインと対をなす概念であり,建築の外構部分全体を対象とするデザインの分野。具体的には建築の外壁に付帯する装飾・備品類,庭園およびそれに含まれる家具・諸設備,門・塀・敷地の外周部分などのデザインを行う。最近ではこのエクステリア=デザインを広義に解釈し,都市デザイン景観デザインの諸分野を含むと考えられている。また都市の街路・広場・公園をより快適に安全に整備し活性化をはかる手段として街路灯・標識類・歩道橋などの安全性を保つ施設,街路樹・ベンチ・アーケード・遊具・路面舗装・水辺の整備などの快適性を目的とするもの,公衆便所・バスストップ・パーキング・売店などの利便性を目的とする施設,公衆電話・掲示板・時計・野外ステージなどの情報の活性化をはかる物をストリート=ファニチュアと総称し,積極的に各地で実現化がなされている。

都市デザイン】アーバン・デザイン(urban design)とも称する。都市計画と表裏一体をなし,都市計画で立案・計画された資料をもとに具体化をし表現をするデザインの分野。都市計画は土地利用・経済・交通・施設配置・防災などの諸計画を立案し,都市の全体像をまとめることに主眼をおき,量的な表現と各要素を機能的に関連づけた組織図・系統図という概念的な表現で提示されるのが一般的である。これを受けて具体的な物的な存在となるように,形体・材質・色彩・寸法を与え,機能的・視覚的・感性的に快適性を表現し,生活環境の質的向上をはかることが都市デザインの立場である。都市計画の場合,普遍性をもった調査・研究をもとに計画が立案されるが,都市デザインの場合は,対象地区がもつ独自性・個別性の表現のあり方に重点をおいてデザインがなされる。その地域の歴史的・文化的な要素,自然環境と季節感の表現も重要なテーマであり,一般市民との意見交換をもとに仕事が進められるケースも年々増加している。また都市デザイナーは,自治体関係者や建築・工業・グラフィック・景観などのデザイナーや彫刻家などの造形作家と協同作業を行い,そのあいだでディレクター的な役割も果たす。都市は自然環境のなかに人為的に実現された人工的環境であり,景観デザインが主として自然環境に重点的に関心を配ることに比して,都市デザインは人工的環境により比重をかけたデザインの分野である。〈都市はその地域の文化的水準を具体的に表現をしている物である〉といわれるが,都市デザインの視点もまさにそこに認められる。

景観デザイン】ランドスケープ・デザイン(landscape design)とも称する。自然を構成する諸要素すなわち植物・動物・空気・水・岩石・土壌および若干の人工素材を主たる材料とし,外部空間の機能的要素と造形的要素を調和させるデザインの分野。大は広域な環境の保全・開発計画から,都市公園街路計画,小は個人庭園まで,種々の要素を包含している。近年とくに国土緑化・環境保全・緑の街づくりなどに一般市民の関心が高まり,各地で意欲的な試みがなされている。地域開発計画・都市計画の分野と協同して仕事をする場合も多い。なお“造園(landscape architecture)”は,景観デザインの分野に含まれると考えられている。日本の場合,昔から個人庭園については関心が高く,有名な作例が多いが,公共的な公園については歴史が浅い。今後の都市公園のあり方について解決しなければならない問題は多い。

〔参考文献〕沼田真『生態学方法論』1972,古今書院

三村翰弘『芸術研究報4』1983,筑波大学芸術学系

下出源七編『建築大辞典』1974,彰国社

清家清編『インテリアデザイン辞典』1981,朝倉書店

横浜市都市計画局編『魅力ある都市ヘ』1983,横浜市都市計画局

原田敬編『ランドスケープ』vol.5, No.4, 1976,都市計画研究所ランドスケープ出版会

宋濂元史』1976,中華書局