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●漢宮秋 かんきゅうしゅう

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 中国元代の戯曲。劇作家馬致遠の代表作で,元曲の傑作と称せられる。まず匈奴の王が登場し,講和のたびに公主(天子の娘)を胡地に嫁がせる例になっていて,漢に貢物を奉り通婚を迫るべく南下してきたことを物語る。場面は漢宮のなかとなる。女色を好む漢の元帝は近侍の臣毛延寿に誘惑され,宮女を全国から選ぶことにした。姦悪な毛延寿は後宮に召される娘たちの家に,金品の贈与を強請した。王昭君は容貌に自信があり貧しかったので贈与を拒否したため,肖像画を醜悪に描かれ皇帝の召見のない冷宮に入れられる。皇帝は巡幸のおり,偶然にも昭君を発見し,やがてその肌に心を奪われ,国事をなおざりにするようになる。奸計が露顕した毛延寿は匈奴の陣営に逃れてきて昭君の真の肖像画を献したので,匈奴の王の心が動き昭君を妻に所望することになった。元帝は大臣たちの事なかれ主義をののしるが,愛人をさし出す破目になる。漢土の安泰のため塞外に旅立った昭君は,途中黒龍江に身を投じた。秋の夜中,まどろんだ仮寝に昭君の夢をみた元帝が,目覚めて聞く雁の声にひとしお悲しみをそそられる。毛延寿が護送されてきて,昭君の痛ましい死を知る。『漢書』匈奴伝や『西京雑記』にある昭君の伝説とは趣を異にした,馬致遠が手際よく戯曲にまとめた王昭君物語である。