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●カリブ族 カリブぞく

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 南米北部を原住地とするカリブ語系インディアンの総称。小アンチル諸島の島嶼カリブ,中米カリブ海沿岸のブラック=カリブ,コロンビア・ベネズエラ・ガイアナスリナム・仏領ギアナ・ブラジルに散在する大陸カリブに区分されよう。

【島嶼カリブ】コロンブス到来の約100年前には小アンチル諸島を北上し,先住のアラワク族を征服。大アンチル諸島のタイノ・アラワク族をよく襲ったが,プエルトリコ東端を除き定住していたかどうかは不明。アラワク族の男を殺して食べたが,コロンブスらの報告がもとで人食い人種と同一視され,カニバリズムということばもできた。彼らの好戦性は西欧人の入植を困難にしたがやがて衰退し,居住地は17世紀末にはドミニカとセントビンセント両島のみとなり,1903年に前者の指定居留地に移された。1940年代には約500人(純血は3分の1以下),現在は200〜300人に満たない。穏和な集団で,民主的に選ばれる独自の首長もいるが,カトリック教会や英国式学校教育,市場経済などの影響で急速にドミニカ化が進んでいる。昔の伝統的生活は移動性が高く,社会組織は比較的単純で,アラワク族の女を捕虜,妻としたので同文化が混在していた。主要生計手段として男は棍棒・槍・弓矢での狩猟と,ときおりの計画された掠奪戦争を行い,女は農業に従事。イグアナ・アグーティ・とかげ,鳥類・キャッサバ・さつま芋・ヤム芋・とうもろこし・豆類・とうがらし類・カニ・亀・魚類を食べ,オウムと犬を飼育した。100人以上乗れる巨大な戦闘用も含むカヌー造り(帆を用いたものもある)・航海技術・籠作りに長じた。家・集落は小規模で拡大家族の成員で構成され,共有の炉辺を儀礼と社交の場とした。家具はハンモック・ひょうたん・アラワク型土器・椅子・小机等。相続・親族関係・社会階層・経済組織の詳細は不明。土地は共有,カヌーや装飾品は個人所有,タバコは交換財でもあった。村落の首長は食糧収集活動の監督・内部抗争の調整・戦争の攻防の責任者。しばしば戦争時の首長がなり,勇敢で強靱で能力ある戦士から選ばれた者がその地位を継承。威厳があり誇り高く部族意識も強かった。アラワク族と類似したアニミズム的宗教をもち,複雑な儀礼は行わなかったが,在天の偉大な善なる無名の神を信仰し,シャーマンがいた。こうもりを個人の守護神とした。

【ブラック=カリブ】セントビンセントのカリブ族と,原住民の代わりに17〜18世紀に連れてこられたアフリカ黒人との混血とその子孫。1796〜1797年から英領ホンジュラス(現ベリーズ)・グァテマラ・ホンジュラスの島嶼・沿岸部に定住。時代をへるにつれ,カリブ文化より西インド諸島の黒人文化との類似性が強まっている。定住後約100年間はほかの民族集団,とくに黒人系と友好的だった。日常レベルでは自由に他民族と交わるが,誕生・結婚・死などに際しては自集団内に人間関係を限定する傾向がある。

【大陸カリブ】上記のカリブ族がごく少数派となり,現代文明との接触が大きく独自の民族性が消えつつあるのに比べ,南米のカリブ語族は数千〜1万人はいるといわれ,伝統的文化は比較的よく保たれている。18世紀まではギアナ三国の奥地を中心に居住し,現在は沿岸部,とくにバラマ川・マロン川下流に集中。カリブ語系にはたとえばガイアナに住むマキリタレ族(約600人)・ブラジルのリオブランコ(ロライマ)に住むマクシ族(約3,000人),マトグロソのバカイリ族(約250人)などがいる。島嶼カリブほど移動性・好戦性ほ強くない。基本的には狩猟民で,社会構造は単純。一夫多妻や重婚を認めるところもあり,男は籠,女は陶器をつくる。バカイリ族の一大行事でもある葬儀クアルプでは村中が集まり,レスリング大会や縁組みも行われるので有名である。

〔参考文献〕F.ヘンリケス(大島監修)『世界の民族5』1979,平凡社

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